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トゥザワールド、トーセンスターダムなど皐月賞分析

  • 2014年04月16日(水) 18時00分


◆最終的に◎を打つ馬は決まっていませんが、とにかく悩みまくりそうな戦国メンバー

 レッドリヴェールに◎を打った桜花賞。当コラムで最終追い切りの印象が非常に良かったことはお伝えしていましたが、レース前々日の11日に坂路馬場でその様子を確認した時にも「しなやかさ」を感じることができた動きに魅了され、その決心が揺らぐことはありませんでした。

 もちろん、ハープスターの11日の調整も最高に良く映ったので、結果的には、こちらを◎にすべきだったかも知れません。ただ、それは結果論であって、ハープスターにちょっとした不利などがあれば、最高の競馬をしたレッドリヴェールが勝つ可能性も十分にあったと思います。終わったことに「○○なら」なんて言葉がナンセンスであることは重々承知していますが、とにかくレッドリヴェールで後悔しなかったということです。

 しかし、今週の皐月賞は、どんな結果になっても「あの馬にしていれば」と後悔しそうなメンバー。最終的に◎を打つ馬は決まっていませんが、とにかく悩みまくりそうな戦国メンバーですね。

【皐月賞/トゥザワールド】

 トレセンニュースでもお伝えしていた、本馬の最終追い切り。併せた相手が、そんなに攻め駆けするタイプではないだけに、子供扱いにしたことは決して驚けませんが、とにかく「伸びそう」と思ったところを、一瞬にして伸びてくるあたりが、良血らしいセンスを感じます。

 今回も早目のレースをすると、中間の追い切り本数が決して多くないだけに、前走のように凌ぐことは難しいでしょう。もちろん、後方待機の馬が自分を標的にすることを川田将雅騎手は分かっているでしょうから、どのあたりで仕掛けるか。この馬の動きひとつで、レース展開がガラリと変わってきそうに思います。

トゥザワールド

一瞬にして伸びてくるあたりにセンスを感じるトゥザワールド(4月16日撮影)



【皐月賞/トーセンスターダム】

 きさらぎ賞以来のレースではあるものの、1週前追い切りまでの印象では、順調に仕上がっている。そのように感じていました。そして、最終追い切りが、バーディバーディが先導する3頭併せ。きっと、ゴール前は2頭の叩き合いになるものだと思っていました。

 ところが、直線に向くと、先頭のバーディバーディは早々に離脱。真ん中にいたサトノフラクタルとトーセンスターダムが追い比べる形に。食い下がる相手を突き放せず、なんとか先着してゴールしたという感じ。時計的には、6F81.3〜5F66.3〜4F52.1〜3F38.1〜1F12.2秒と不満を感じるような点は一切ありませんが、見た目の印象があまり良くなかったというのが、個人的な感想です。

トーセンスターダム

不満を感じるような点はないが、見た目の印象があまり良くなかったトーセンスターダム(4月16日撮影)



【皐月賞/ワンアンドオンリー】

 ラジオNIKKEI杯2歳Sは7番人気での勝利だったこともあり、前走弥生賞はそれがフロック視された4番人気。しかし、そのレース内容から、一躍、牡馬クラシックの主役級の扱いになったことは間違いありません。

 私も同様ですが、それはレース内容からではなく、追い切りの動きが変わっているから。前走時もかなりしっかりと動ける体になっていましたが、この中間はそれに拍車をかけるように動いています。1週前追い切りの時点で、坂路4Fの自己ベストを更新したと思えば、最終追い切りでは、更にベストを更新。なおかつ、中間は水曜、日曜と週2本の追い切りを定期的に消化。量を緩めることなく、質がアップしている現状は絶好調を表している以外に考えられません。

ワンアンドオンリー

量を緩めることなく、質がアップしている現状は絶好調のワンアンドオンリー(4月15日撮影)



【皐月賞/ウインフルブルーム】

 中10週の千両賞で勝った実績があるとはいえ、中9週の前走は皐月賞トライアル。最後はアドマイヤデウスに1馬身引き離される2着でしたが、仕上がり状態を考えると、仕方ない結果だったと判断したいところ。

 この中間は追い切り本数が実に豊富。最終追い切りの前日、15日の坂路でも時計になっているように、前向きな気持ちが出ているように見えます。それに加えて、パワーアップしたフットワークが自然と速い時計になっているという事実もあります。最終追い切りは坂路で単走。2回目のハロー明け直後とはいえ、4F54.9〜3F39.4〜2F25.2〜1F12.5秒を馬なりでマーク。楽にラスト1F12.5秒で動けるあたりに前走からの上昇度を感じます。

ウインフルブルーム

楽にラスト1F12.5秒で動けるあたりに前走からの上昇度を感じるウインフルブルーム(4月15日撮影)



【皐月賞/ステファノス】

 デビューから6戦して、掲示板は外していない堅実ぶり。前走毎日杯も勝ち馬とはハナ、クビの3着。勝っていれば、もう少し人気になっていたと思われますが、2勝馬ということで、人気はさほどなさそうです。それでも、1週前追い切りには、今回手綱を握る後藤浩輝騎手が跨って追い切りでした。

 今朝16日も、再び後藤騎手が跨って追い切り。Cコースでエアラギオールを追走して、最後は追いつくか微妙な感じでしたが、追われると鋭く反応して先着。時計は6F84.9〜1F11.9秒で、いつもと変わりない数字とバランス。後藤騎手との相性も良さそうなだけに、人気以上に走れる状態は間違いないでしょう。

ステファノス

人気以上に走れる状態は間違いないステファノス(4月16日撮影)



◆次走要注意

・4/12 中山12R 4歳上1000万下【テンゲントッパ】(15人/5着)

 馬券総合倶楽部の狙い馬に挙げていました。レースは直線に賭けて、最後方から脚をためる競馬。ペースが遅かったこともあり、届きませんでしたが、最後の脚は見どころ十分。メンバー最速上がりとなりました。
 この最終追い切りが美浦坂路でラスト1Fが最速になるラップ。この動きができれば、メンバー最速上がりを使えることを証明したようなレースなので、再度それに期待しましょう。

[メモ登録用コメント] [ダート中長距離]最終追い切りが美浦坂路で終い最速ラップなら勝ち負け

・4/12 阪神12R 梅田S【コルージャ】(15人/7着)

 1600万下にクラスが上がり、掲示板に載ることはできていませんが、今回を含めて4走して、メンバー最速上がりが3回。トラック調教馬でも、終いの脚が確実なのは、3コーナー、4コーナーでのロスが少ないからでしょう。
 次は京都ダート1800mに出走してくる可能性が高いと思いますが、そうなれば狙い目。最終追い切り場所がトラックで、ラスト1Fが最速になるラップを踏めていれば、再びメンバー最速上がりを使い、今度は差し切ってくれるはずです。

[メモ登録用コメント] [京都ダート1800m]最終追い切りがトラックで、ラスト1Fが最速ラップなら勝ち負け

◆今朝の追い切り特報

・はなみずき賞【サウンズオブアース

 16日の最終追い切りは前半がゆったりと入ったこともあり、CW6F85.0秒と全体時計は遅くなりましたが、ラストは12.0秒の伸び。弾むようなフットワークは騎乗していた福永祐一騎手との相性の良さを感じさせてくれました。

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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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