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道営ホッカイドウ競馬閉幕

  • 2003年11月04日(火) 14時55分
 10月31日、今年度の道営ホッカイドウ競馬が終了した。売り上げ総額は84日間の開催で110億7462万円余。今年度の売り上げ目標が111億2810万円余だったことから考えると、ほとんど目標は達成したと言って良いだろう。

 対前年度比で12.8%増。これだけを見ると、近年には稀な好成績に終った、と拍手を送りたいところだが、いかんせん昨年の売り上げがあまりにも少なすぎたのだ。(因みに昨年は100億円にも到達せず98億円余に終った)

 実に12年ぶりの売り上げ増とあって、地元の生産地では、とりあえずホッと一息というムードが強い。数字によっては、来年度の開催そのものが危ぶまれるところまで追い込まれていたわけで、早々に来年度の開催も決定しており、来年はこの上昇気運を更に盛り上げたいところだ。

 ところでホッカイドウ競馬では、10月末で開催終了となった後、11月1日から来年3月25日までの間、道内各地に展開している場外施設で南関東公営(69日間)と、ばんえい競馬(48日間)の場外発売をすることになっている。174億円に達している累積赤字の減少と、シーズンオフのファン離れを防ぐという目的から、過去最長の5ヵ月間にわたるロングラン日程が組まれている。

 因みに昨年は、34日間で9億5901万円余を売り上げ、一日平均2820万円余となり、その15%が収入として計上された。今年度のオフの売り上げ目標は、南関東とばんえいを合わせて26億3568万円という。15%の3億9535万円が収益として見込まれている。 果してオフの場外発売はどういう数字を残せるか、注目して行きたい。

 それにしても、今年度の売り上げ増に大きく貢献したのが、「新種馬券」の存在だという。地元紙の報道によれば、全体の65%程度が、今年度から導入された馬単(27%)、三連単(24%)、三連複(14%)による売り上げとのこと。また、小樽、滝川、浦河に新設したミニ場外も健闘した。既設の静内と苫小牧を合わせ、道内5ヶ所のミニ場外の売り上げ総額は対計画比21.6%増の14億5099万円余に達し、今後の方向性を示唆する結果を出したと言えるだろう。惜しまれるのが、今年度も実現しなかった札幌圏での場外施設展開だ。570万人いる北海道の人口のうち、札幌市の180万人を筆頭に、江別市、千歳市、北広島市など商圏の人口は200万人を軽く超える。にもかかわらず、ホッカイドウ競馬の馬券を買える場所は、札幌競馬場のみ。これが最大のネックになっていることは疑いない。一ヶ所のミニ場外も札幌圏に新設できていない現状では、今年度の売り上げ増もそのまま素直に喜べない。人口比から言えば、10ヶ所や20ヶ所あったって多すぎることはない地域なのだ。

 最後にもう一点だけ苦言を呈しておきたい。オフの場外発売は基本的に大賛成だが、南関東公営とは言いながら、すべての開催日を網羅しているわけではないことが気になる。つまり「発売日」と「非発売日」があり、これはファンの混乱を招きかねない。例えば、この11月を例に取ると、7日船橋、10日船橋、14日川崎、17日川崎、21日浦和、24日大井、28日大井。これだけの非発売日がある。札幌競馬場は金曜日に中央競馬のメンテナンスが入るため発売できないという事情があることは分かる。しかし。それ以外の場外では、もっと発売日が増やせないものか。

ファンの立場からすると、「発売しているものかどうかはっきり分からない」と苦情を言いたくなるところだろう。日程表を事前によく見て来い、と主催者は言いたいところだろうが、そんなところからもファンは簡単に離れて行く。「毎日決まった時間に開店するパチンコ屋の方がずっと快適だし分かりやすい」と思われたら苦戦を強いられるはず。改善を求めたい。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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