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若手調教師の活躍で

  • 2014年05月02日(金) 18時00分


◆若手調教師たちの活躍に感じる地方競馬の変化

 4月29日のかきつばた記念は、JRAのノーザンリバーとダノンカモンの馬連複が1.1倍という人気で、たしかに近走の実績からそうなるのも仕方ないと見ていたら、雨で水の浮く馬場の影響も少なからずあったのだろう、兵庫のタガノジンガロが、その人気2頭とのゴール前の大接戦を制した。

 兵庫所属馬がダートグレードを制したのは、2001年兵庫チャンピオンシップのロードバクシン、2008年佐賀記念のチャンストウライに続いて3度目とのこと。その快挙となったタガノジンガロを管理しているのは、2年前に厩舎を開業したばかりの36歳、新子(あたらし)雅司調教師だ。

 新子調教師は開業からまだ1年ほどの昨年6月には、牝馬のユメノアトサキで兵庫ダービーを制している。さらに今回のダートグレード制覇によって、今後は注目や期待がさらに大きなものとなるに違いない。

 それで思ったのが、最近は地方競馬では若手調教師の活躍が目立っているということ。

 昨年、2歳にしてNARグランプリ年度代表馬となったハッピースプリントを、東京ダービーまでということで管理している大井の森下淳平師は、30歳で調教師となり、現在34歳。中学生の頃から調教師になろうと決めていたがゆえの、この若いうちからの活躍は、だいぶ以前にこのコラムでも取り上げた。

 そのほか、目下活躍中の若手調教師を北から順に列記してみる。

 ハッピースプリントで初めてホッカイドウ競馬に年度代表馬のタイトルをもたらした田中淳司調教師は、2010年以降、ホッカイドウ競馬の調教師リーディングで3位以内をキープしている。

 昨年度、初めて岩手リーディングとなった板垣吉則調教師は、今シーズン開幕直後の重賞、スプリングカップ(シグラップロード)、あやめ賞(アイスカチャン)を連勝し、スタートダッシュを決めた。

 名古屋の川西毅調教師は、毎年のように30%前後かそれ以上のきわめて高い勝率をキープし、2009、2012年と2度、NARグランプリ最優秀勝率調教師賞を受賞。

 2012年4月に開業した高知の打越勇児調教師は、2年ちょっとのキャリアで通算223勝(4月末現在)。厩舎開業年、アドマイヤインディでJpnIIIの船橋・クイーン賞を3着と好走したのが印象的。地元高知では今年4月の二十四万石賞(オオミカミ)で重賞初制覇を果たしている。

 佐賀の東眞市調教師は昨年、九州ダービー栄城賞(ダイリングローバル)を制し、2歳馬による九州ジュニアチャンピオンでは管理馬4頭を出走させて1、3、4、5着と、4頭ともが掲示板内に好走。今年の3歳重賞戦線では、常に複数の馬がその出走馬として名を連ねている。

 冒頭の2名は30代と特に若いが、その後に列記した調教師には共通点がある。5名ともが1972年生まれということ。今年の誕生日がまだなら41歳、過ぎていれば42歳だ。

 また、2012、2013年と南関東では唯一の100勝超えでぶっちぎりのリーディングとなり、今年も同じようなペースで勝ち星を量産している浦和の小久保智調教師は、1971年10月生まれの42歳。

 41、42歳は、一般的には「若い」とは言わないかもしれないが、調教師というカテゴリーでは間違いなく若手だ。

 昨年度は地方競馬の全主催者で、馬券発売額が総額でも1日平均でも前年度比100%超えとなったことは、さまざまなところで触れてきた。もちろん2012年10月にスタートした地方競馬IPATの影響は大きいが、こうした若い調教師たちの活躍によって、地方競馬自体が変わってきているということも、好調な売上げとは無関係ではないように思う。

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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