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エリザベス女王杯

  • 2003年11月17日(月) 11時20分
 伏兵の先行型が引っぱり、レースラップは57.5−12.2−62.1秒。2分11秒8の好時計になり、後半の1200mはすべてハロン12秒台。最後は一瞬の切れとかではなく、頂点のG1らしい底力勝負となった。引っ張ったグループは当然、失速はしたが、レースの中身を濃くした立て役者となった。

 人気馬では、3歳スティルインラブが強気に、もっとも前の位置取り。これを5歳レディパステルがマークし、さらにそれをローズバド、アドマイヤグルーヴが射程に入れて進む形となった。結果、巧みに当面のライバルを見ながら進んだアドマイヤグルーヴの快勝となったが、負けたスティルインラブは見事。馬体が減り明らかにピーク過ぎの感があり、なおかつ有力馬のマークを一手に受ける位置取り。これで鼻差2着は立派。さすが歴史に残る3冠馬だった。ライバルのアドマイヤグルーヴに差されたとはいえ、そのレースの中身は勝ち馬をさえしのぐものだった。

 ドッと疲れが出そうだから、勝ったアドマイヤグルーヴとともに来期に向けてゆっくりオーバーホールに入って、またグルーヴとの好勝負を続けて欲しい。グルーヴの勝利は位置どりもあったが、祖母や母と同様、本当に強くなるのはこれからということだろう。勝ったがまだ途上。中身はスティルにまだ一歩ゆずっている。

 タイガーテイルは、アナマリーとは違って、伊・加など英・仏だけではない競馬を経験している強みだろう。いつものジャパンCで示されるパターン通りで、英・仏のレース中心では高速レースに対応は難しい。

 レディパステルは肝心の勝負どころで右回りに対する死角を出した。バテてはいないが、あそこで置かれては苦しい。とはいえ、早めに動いたローズバドとともに並んでの4〜5着で、いつもの力関係通りだったから、残念ながら若い3歳馬の勢いとレベルに少しだけ見劣ったということだろう。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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