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ドリームジャーニー、オルフェーヴルの全弟アッシュゴールド

  • 2014年06月04日(水) 12時00分
アッシュゴールド(牡 栗東・池江泰寿 父ステイゴールド、母オリエンタルアート)
 ドリームジャーニー(有馬記念、宝塚記念、朝日杯FS)、オルフェーヴル(三冠、有馬記念2回、宝塚記念、フォワ賞2回、凱旋門賞2着2回)の全弟にあたる超良血。「ステイゴールド×メジロマックイーン」は現代を代表するニックスで、他にゴールドシップ、フェイトフルウォーが同じ組み合わせから誕生している。史上屈指のニックスと称揚されるこの配合は、単にふたつの血の相性に還元されるものではない。活躍馬はいずれもNorthern Dancer系のクロスを持っており、そのサポートが重要な役割を果たしている。本馬とその兄弟はノーザンテースト4×3、ゴールドシップはノーザンテースト≒The Minstrel 4×4、フェイトフルウォーはNorthern Dancer 5×4。これらのクロスがあってはじめて「ステイゴールド×メジロマックイーン」のニックスは完成するのだと思われる。とくにゴールドシップと本馬がほとんど同じ血統構成のクロスを持っている点は留意したいところ。本馬の全兄弟は、故障を挟んだリヤンドファミユを含めて凡馬が1頭も出ていない。GI級の期待が掛けられる。

カゼノドリーム(牡 美浦・中野栄治 父エンパイアメーカー、母タイフウジョオー)
 母タイフウジョオーは現役時代、クイーンC(GIII)6着などの成績がある芝向きのマイラー〜中距離馬だった。繁殖牝馬としてはエイシンタイガー(父コロナドズクエスト/09年CBC賞-GIII・2着、08年京王杯2歳S-GII・3着)を筆頭にコンスタントに勝ち馬を送り出している。父エンパイアメーカーは現役時代、ベルモントS(米G1・ダ12f)などG1を3勝した名馬で、種牡馬としても大成功。12年の米サイアーランキングで2位となった。現2歳世代が日本における初年度産駒。アメリカに繋養されていた時代に輸入された産駒のなかで最も出世したフェデラリスト(12年中山記念-GII、12年中山金杯-GIII)は、母がオークスとエリザベス女王杯を勝ったダンスパートナーで、「サンデーサイレンス×Nijinsky」という配合だった。本馬の母タイフウジョオーは「サンデーサイレンス×ラッキーソブリン(その父Nijinsky)」なので配合構成が似ている。芝向きに出ればおもしろい。

スマートボムシェル(牡 栗東・吉田直弘 父ゴールドアリュール、母ファニーストーリー)
 母ファニーストーリーはブリーダーズゴールドC(JpnII)と白山大賞典(JpnIII)を勝ったシビルウォーの半姉にあたり、その父Distorted Humorは11年の米リーディングサイアー。ダート向きの優れたポテンシャルを感じる。母にMr.Prospector、Sadler's Wells、Rivermanを抱えたゴールドアリュール産駒といえばクリソライト(13年ジャパンダートダービー-JpnI)によく似ている。Nureyev≒Sadler's Wells 3×3は底力十分。シビルウォーを出したファミリーのポテンシャルを引き出すことのできる好配合馬だ。ダート1600〜1800mがベストで、来年のユニコーンSが最大目標となりそう。

タイユール(牡 栗東・安田隆行 父ワイルドラッシュ、母タイトーク)
 2代母ハイランドトークはガゼルH(米G1)の勝ち馬。母タイトークは現役時代、北米で26戦2勝と平凡な成績だったが、良血だけあって繁殖牝馬としては成功。スタッドジェルラン(父キングカメハメハ/12年平安S-GIII・4着)、アルゴリズム(父アグネスタキオン/OP)を出している。本馬はその半弟で、父はワイルドラッシュ。じつは、母タイトークはアメリカ繋養時代、カナダ最優秀2歳牡馬、カナダ最優秀スプリンターに選ばれたJudiths Wild Rushという活躍馬を産んでいる。同馬の父はワイルドラッシュ。つまり、本馬の全兄にあたる。アメリカ時代に交配した父母がその後、偶然にもそろって日本に売却され、もう一度交配したことによって本馬が誕生した。ダート向きのスピード馬として堅実に走ってきそうだ。

ペガサスボス(牡 栗東・矢作芳人 父ディープインパクト、母ファイトガリバー)
 母ファイトガリバーは現役時代、桜花賞を勝ちオークスでも2着となった名牝。繁殖牝馬としてはデビューした5頭のうち4頭が勝ち上がっており、OPクラスまで出世したペガサスファイト(父エルコンドルパサー)が出世頭。姪のエクセレントビューはフェアリーS(GIII)で4着と健闘している。本馬は母が19歳時の子だけに、多少割り引いて考える必要はあるものの、馬格のあるディープ牡馬で、母方の硬さがうまく父とフィットすれば上級クラスを狙える馬に成長してもおかしくない。芝向きの中距離タイプで仕上がりは早い。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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