10月の府中牝馬Sのときに思ったが、レースの流れと走破時計の関係というか、引き出される馬の能力は不思議なものだ。
府中牝馬Sでは、前半44.5−56.3秒の猛ペースでかかって飛ばしたスマイルトゥモローがいっぱいに粘って1分46秒9。離れて後方から追走し追い込んだレディパステル、ローズバドが、上がり33.7〜8秒で伸び、上がり38.4秒のスマイルトゥモローと並んで入線の1分46秒6〜8。どう乗ってもあのレベルの牝馬オープンの走破時計は1分46秒台後半であることを示した。
そしてこのマイルCS。ペリエ騎手のマグナーテンにつつかれてしまい、マイペースにならなかったギャラントアローは前後半の800mずつがm46.0−47.6秒で、自身の上がり36.0秒、走破時計は1分33秒6だった。
勝ったデュランダルは、ほとんど最後方に近い後方2番手から上がり33.5秒。前後半の800mは推定[48.3−45.0秒]で1分33秒3。ギャラントアローと、デュランダルはまったく別のレースをして、結果はコンマ3秒差の1分33秒3〜6だった。
府中牝馬Sも、マイルCSも、飛ばした逃げ馬と、道中は20馬身以上も離れていた後方の馬が、結果はほぼ並んでゴールした。どうの乗ってもこれくらいの時計(能力)ということだった点にあるが、本当の不思議はそういうことではない。ギャラントアローもデュランダルも彼らは能力を十分に出し切ったが、それは個性的な特殊なレース運びで、あやうく、危なっかしいレース運びそのもの。
こういうレース、実は好位にいて[46.5−46.5秒]ぐらいのバランス・ラップを踏んだ馬が一番有利なことは、現代の何千ものレース結果が示している。人気の好位〜中団からのグループが(ファインモーション以外)、やや情けない内容で、結果ハイペースでもないから、実はスパートのタイミングが遅すぎた馬がいっぱいいる。結果、かつてのデキがなく失速したマグナーテンは仕方ないが、好位グループがギャラントアローからあんなに離されてしまったのはダメ。直線の33秒しかレースのできないデュランダルには、スプリンターズS同様、レース全体の流れがスローだった点が味方している。だから、行くギャラントアローに期待したのだが、残念ながら、現時点では能力もう一歩だった。理想の位置でベストの流れだった好位組のスパートがあまりに遅すぎた。