◆総合力勝負になる 予報を大きく上回る雨がもたらす影響は大きい。スピード能力と切れ味のマイルG1ではない。タフな総合力、重馬場の巧拙にはとどまらない底力が求められそうである。G1になって過去30年、不良馬場で行われたのは、1998年、1着タイキシャトル(岡部騎手)、2着オリエンタルエクスプレス(ホワイト騎手)で決着し、1分37秒5もかかった年だけ。
雨の重馬場で行われたのも、たった1回だけ。1987年のことで、天皇(秋)を押し切り勝ちしたニッポーテイオー(郷原騎手)の逃げを捕まえたのは、最後方近くから直線は離れた大外一気を決めたフレッシュボイス(柴田人騎手)だった。
ほかに稍重馬場で行われたことが2回あり、1989年は最後方近くにいたバンブーメモリーが馬群を割って追い込み勝ちを決め、2004年の稍重馬場では、後方にいた伏兵ツルマルボーイが安藤勝騎手で馬群を切り裂き、同じく後方にいたテレグノシスが2着に突っ込んでいる。
数少ない渋馬場の安田記念を振り返ったところで、傾向が見えるわけでもないが、先行して好勝負に持ち込めたのは、ニッポーテイオー、タイキシャトル、オリエンタルエクスプレスのイメージであり、追い込みを決めたのは、馬場状態がもたらす最後の苦しいしのぎ合いを読んでいたかのような、ベテラン騎手の巧みなコース選択による直線の強襲である。
タイキシャトルのイメージなら、海外遠征の時期こそ異なるが、海外のG1を制したパワーを持つ
ジャスタウェイは強気になれる。重下手ではまずいが、2歳時の東京スポーツ杯で伸び悩んだ当時とは、パワーが異なる。だいたい柴田善騎手のG1好走は重馬場が多い印象もある。
香港の
グロリアスデイズは、良馬場では足りないが、キャリア、タフな面はオリエンタルエクスプレスに通じるかもしれない。先行勢で残れるのは、時計を頼りの軽快なスピード型ではないだろう。今年、パワー十分の先行型はいないように思える。
後半の差し比べになるとみて、昨年、1分31秒5(上がり32秒8)で大外からロードカナロアをクビ差まで追い詰めた
ショウナンマイティを狙いたい。強調点は昨年の時計や上がりの鋭さではない。この馬が頭角を現したのは、4歳春の大阪杯2000m。タフな阪神の稍重馬場は2分05秒5の勝ち時計にもつれ込んだが、最後方近くにいたショウナンマイティは、直線大外に回ると、ケタ違いの脚さばきで直線大外一気。体型から重馬場巧者とは思えなかったが、秘めるパワー十分ということだろう。
今春の東京新聞杯凡走は、休み明けと体調の問題で、渋馬場は苦にならないと思える。大一番向きのアレッジドの(4×3)がある。
問題は体調だが、先週の長めからの猛調教が効いて、その反動が出るどころか、好調時に近い動きで今週はシャープに伸びた。95点くらいの状態に戻ったと判断したい。
ディープインパクト産駒の切れ味と、スピードが生きる馬場とは思えないから、ディープインパクト産駒は抑えまで。ジャスタウェイと、
グランデッツァを本線に少し絞って買いたい。