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ナカヤマフェスタの全弟フェスタジュニーナ

  • 2014年07月02日(水) 12時00分
エイシンアグライア(牝 栗東・中尾秀正 父マンハッタンカフェ、母エーシンロレーン)
 母エーシンロレーンは未勝利馬だが、2代母エイシンレマーズは阪神3歳牝馬S(GI)でスティンガーの2着となった活躍馬。「マンハッタンカフェ×Rahy」という組み合わせは、JRAで出走したわずか7頭からメイショウクオリア(08年京都新聞杯-GII)、サンディエゴシチー(09年札幌2歳S-GIII)と2頭の重賞勝ち馬が出ており、7頭中5頭が2勝以上を挙げるという好成績。重賞を勝った2頭はいずれもMr.Prospectorを併せ持っており、本馬も母方の奥にMr.Prospectorを持っている。成功確率の高い配合パターンに属しているので芝向きのマイラーとして期待できる。

ガラスマスカレイド(牝 栗東・中内田充正 父キングカメハメハ、母フェアレストケープ)
 母フェアレストケープは本邦輸入種牡馬ヨハネスブルグの半妹で、アメリカで種牡馬として成功したTale of the Catの4分の3同血(いずれも父がStorm Catで母同士が親子)。さらに、近親に名種牡馬Pulpitがいる名門ファミリーに属している。父キングカメハメハは「Northern Dancer+Secretariat」の構成を抱えた血と相性がよく、短距離王ロードカナロア、ダート王ベルシャザール、ジャパンCを勝ったローズキングダムなど、主要な活躍馬はこの配合パターンから誕生している。本馬の母の父Storm Catはこの形に当てはまる血で、「キングカメハメハ×Storm Cat」は前出のロードカナロアと同じ組み合わせ。芝・ダート兼用のスプリンター〜マイラーだろう。

サザナミ(牝 美浦・堀宣行 父ディープインパクト、母クーデンビーチ)
 ジムクラックS(英G2・芝6f)を勝ったShaweelの半妹。母クーデンビーチはNorthern Dancerのクロスを持ち、その一方がDanzigなので、ドナウブルーとジェンティルドンナの姉妹、ミッキーアイル、ディサイファ、フィエロ、エバーブロッサムなどと同じ配合パターンとなっている。また、Mr.ProspectorとSpecial牝系のNorthern Dancer系(Nureyev、Sadler's Wellsなど)を併せ持つ配合も、ヴィルシーナ、ディープブリランテ、トーセンラー、デニムアンドルビーなどの大物が出ており成功している。2代母の父Green Desertはジェンティルドンナの母の父Bertoliniの4分の3同血で、Bertoliniに含まれていてGreen Desertには存在しないAlydarは、母の父パントレセレブルに入っている。したがって本馬とジェンティルドンナの配合構成はよく似ている。馬体重が450kg以上なら期待できる。距離は2000m以下がいい。

ハッピーノリチャン(牝 美浦・黒岩陽一 父サクラバクシンオー、母ラストワルツ)
 英オークス(G1)、愛オークス(G1)、ヨークシャーオークス(G1)などを制した名牝Fair Saliniaのファミリーで、2代母パーフェクトサークルの一族からは福島牝馬S(GIII)2着のスターリーヘヴンが出ている。母ラストワルツはその半妹で、現役時代は未勝利に終わったが、「サンデーサイレンス+Mr.Prospector+Nijinsky+La Troienne」と骨格のしっかりした配合だけに繁殖牝馬としては少々おもしろいところがある。父サクラバクシンオーはNijinskyとニックスの関係にあるので悪くない。ローカルの芝短距離を得意とするタイプになりそうだ。

フェスタジュニーナ(牡 美浦・二ノ宮敬宇 父ステイゴールド、母ディアウィンク)
 全兄ナカヤマフェスタは宝塚記念(GI)など3つの重賞を制覇したほか、凱旋門賞(仏G1)2着という快挙を成し遂げた。ステイゴールドはメジロマックイーン牝馬とのニックスが有名だが、もうひとつ、母方にデインヒルを持ち、そこに含まれるRibot系の血を母方にクロスで持つパターンも成功している。本馬の全兄ナカヤマフェスタと天皇賞・春を連覇したフェノーメノがその代表だ。半姉ディアアレトゥーサ(父トーセンダンス)は福島記念(GIII)2着馬。母ディアウィンクはナカヤマフェスタを出しただけの一発屋ではなく、高い能力を秘めた繁殖牝馬であり、本馬がこれらに続く可能性も十分あるだろう。兄レベルの活躍を期待したい。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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