名種牡馬トニービン(その父カンパラ)は、これまでにG1ホースを9頭も送った。それはサンデーサイレンスにはかなわないが、94年にはチャンピオンサイアーとなり、世が世なら、つまりサンデーのような天才種牡馬と同時期でなければ、もっとはるかに高い評価を受けただろう。
物足りないのは、後継の種牡馬がいまのところもう一歩の点だろう。すでに産駒を送っているウイニングチケット、エアダブリン、オフサイドトラップ、ケントニーオー、サクラチトセオーは、正直いまいち。
これからジャングルポケット、テレグノシス、ロードプラチナム、テンザンセイザ、サイドワインダーなどが、産駒を送ったり、やがて種牡馬となれそうだが、ジャングルポケット、そして、まだまだ真価発揮はこれからと思えるサクラチトセオーあたりに、ぜひ父系を続けるような産駒を送ってほしいものだ。
このグレイソブリンにさかのぼる父系は、もう日本でも30年以上、下火になりかけると分枝がよみがえり、決して主流血脈から外れることがない。
サクラチトセオーはマイルに1分32秒のレコードを58キロで記録し、5歳秋(当時は6歳秋)に天皇賞を制した馬。奥手であって不思議ない。ナムラサンクスは、今年の夏の新潟で上がり33.1秒を記録したあたりから本格化。そのあとも再三33秒台の切れを爆発させ、ようやくOP馬になりかけている。
2000m以上を使うことが多いが、1800mには1分46秒台が2回もあり、また5勝中2勝が1800m。切れを生かすに、こういう距離の追い込み競馬の方が合う気がする。事実、タメているだけでズブいわけではない。
流れが落ち着いてしまうと、小回り中京だけに苦しいが、少し速くなるとみて、ナムラサンクスの大外一気に期待したい。ナリタトップロード以来、渡辺騎手にもようやくコンビの馬が出現した。