「配当面のメリットも大きい」この馬が中心
この世代のJRA初重賞。かつてはさまざまな2歳馬が未来に向け、夏の北海道で展望の扉をひらくレースだったが、近年はクラシックとの関係は薄い。中には2012年の4着馬ロゴタイプのような中距離型も含まれるが、多くは2006年の2着馬ローレルゲレイロ(新種牡馬)が代表する未来のチャンピオンスプリンターの出発点である。
昨年の勝ち馬クリスマスは、6月末の函館の新馬1200mを1分09秒3で独走し、開催の最後に組まれるこの重賞は「1分09秒6」の完勝だった。
これを目安とすると、6月末に1分09秒5(上がり35秒1)で函館1200mの新馬を勝った
マイネルエスパス(父マイネルラヴ)は強気になれる。好ダッシュで離して先頭に立ったまま、最後も余力十分の3馬身半差だった。中間の動きも文句なしにいい。
開催の最後で、ましてや雨の予報もあるから時計短縮は無理としても、スピード能力をフルに発揮してくれるだろう。マイネルラヴ(その父シーキングザゴールド)産駒だから、ただ行くだけの単調で味の乏しいスピード型ではないはずである。
ただし、中心にしたいのは、開催後半の先週、こちらも1分09秒8(上がり34秒9)で独走し、疲れなしと判断し連闘で出走してきた
アクティブミノル(父スタチューオブリバティ)。開催後半の1分09秒8は、Aコース、Bコースの違いもあるからマイネルエスパスと比較するのは意味がないが、仮に先週と同じ時計(内容)で乗り切ることができるなら、クリスマスの例を持ち出すまでもなく、勝ち負け必至の計算は成り立つ。クリスマスの1分09秒6はレースレコードなのだから…。
アクティブミノルの父スタチューオブリバティ(その父ストームキャット)は、シャトル種牡馬の典型で、日本で供用された08年-12年の産駒成績はもう一歩だったが、産駒はオーストラリアだけでなく、ヨーロッパ各国で活躍しているから、函館のちょっとタフな洋芝こそベストではないかと考えることはできる。
スタチューオブリバティの半兄は、ベルモントSなど北米10勝のレモンドロップキッド(父キングマンボ)。いとこには大種牡馬としていいA.P.インディを持つパワー十分のスピード系。一本調子かも知れないが、前回、独走になって馬なりの最後の1ハロンも楽に11秒9である。先週の今週で、急な登録馬とあってその他大勢扱いになっているから、上位人気馬より配当面のメリットも大きい。
マイネルエスパス、好ダッシュができそうな
スルターナ(父キングヘイロー)本線。
穴馬には、今週の動きがやけに目立った
キッズライトオンをぜひマークしたい。父スニッツェル(デインヒルの孫世代)もシャトル種牡馬。07年、11年だけ日本で供用されている。最初の産駒は、10年のこの函館2歳Sを3着したルリニガナのスピードが印象に残るくらいで、とくに大活躍した馬は送れなかったが、2度目の来日になったこの世代はちょっとちがう。すでに全国で14頭がデビューし、7頭が勝ち上がり(JRAの新馬で3頭)、2歳種牡馬ランキング堂々の4位(7月16日現在)。勝ち上がり率5割は、ランキング上位陣のなかで断然のトップである。キッズライトオンは新馬414キロの小型馬。昨年のクリスマスの新馬も418キロ。こちらは男馬だから追いかけて買う馬ではないが、あまり馬場が悪くならなければ、今回は買っていい気がする。
もちろん、人気の
トウショウピストも有力馬。サクラバクシンオーの牝馬にヨハネスブルグ。こういう重賞のために配合されたスピード型であるが、今週の追い切りは、高評価のわりに前肢のさばきが硬い印象があったので、決して軽視はできないが、強弱をつけたい馬券では、アクティブミノルの相手の1頭にとどめた。