サダムパテック・ローマンレジェンドの復活を見て
物事を理屈で解決しようとして行きづまることがある。手前勝手な理屈がついているからで、本当は非凡なことが何やらむつかしいことになってどうしたらいいのか分からなくなっているのだ。こうしたときは、もう一度考え直してみたい。別にむつかしく考える必要はないのでないか。素直な心で、しっかり向き合えば、自然と道が拓けてくる。困ったらもう一度考え直してみる。水が低きに流れるように、逆らわずに自然の理に従うだけで、それでいいのだから。素直な心とは、そういうことではないだろうか。
長いトンネルから抜け出して復活したGI馬の勝利に触れ、ふとこんな風に感じた。
マイルCS以来1年8ヵ月ぶり勝利で中京記念を勝ったサダムパテック。大外から追い込み、大接戦を鼻、首で制して底力を久々に見せてくれた。長いスランプから抜け出そうと試行錯誤の中、新味を求めてアメリカJCC2200米を使ったりしたが、ひと息入れてのぞんだ安田記念で、7着とはいえ道悪の中最後はいい脚を見せていた。やはりこの馬はマイルがいい。直前のケイコで終いの伸びにこの馬らしさが見られたという西園調教師の言葉が、今回の勝利を予知させていたのだった。そして、東京大賞典以来1年7ヵ月ぶり勝利で札幌のエルムSを勝ったローマンレジェンド。右トモの骨折で休む前、しばらく勝てずにスランプが続いていた。これをレースの疲れから馬自身の気持ちが乗っていなかったと見た藤原英調教師は、骨折休養期間をじっくり心身の充電にあて、復活を予感させるケイコが出来ていた。力でねじ伏せる豪脚が戻り、サダムパテックともども、暮れに向けて大舞台での夢がふくらむ。
直線1000米のアイビスサマーダッシュは、開幕週で行われるので内側の馬場が悪くなっていないところにポイントがありそうだ。それと牝馬が気になる。困ったらもう一度考え直してみる。自然の理に従うとはどういうことになるのだろうか。