◆本物の“穴厩舎”
新川厩舎時代からの知り合いで現高橋忠厩舎の新村厩務員からこんなことをよく言われる。
「ようけ取材するより、ウチの馬の馬券だけ買ってた方が儲かるやろ」
いわゆる“穴厩舎”というやつだが、よくよく調べてみると案外そうでもないことの方が多い。しかし、この高橋忠厩舎は“本物”だ。
今年は先週までに149回競馬に出走。仮に全レースで単勝100円ずつ買っていたら、1万2250円のプラス収支になっていた。この厩舎がすごいのは1頭の大万馬券だけで単勝回収率をプラスに転じさせているのではなく、まんべんなく人気がないところ。18勝しているうち1番人気は3回だけで、あとは軒並みおいしい配当をつけているのだから、確かに下手な取材をするより、この厩舎の馬券だけ買っていた方がいいのかも…。
で、本題は関屋記念のサンレイレーザーだ。前走の米子S3着後、ずっと厩舎に滞在していた理由を矢野助手は「夏場はあまり強くない馬。ミストのついた厩舎に置いて調整した方がここに向けていい状態で出走させられるから」と説明する。
馬房の入れ替えの激しいこの時代。普通なら短期放牧に出すケースをあえてそうせず、万全のデキで出走させるために着々と調整を続けてきた。最終追い切りにはわざわざ菱田が志願して、北海道から駆けつけたということからも、このレースに向けての勝負気配がビンビンに伝わってくる。
「この馬、同じ競馬場ばかり行くと気合が乗らないことが多くて…。最近ずっと使っている阪神なんかはそんな感じでしたけど、新潟ならまだ2回目なので馬もピリッとしてくれるはず。このメンバーでダノンシャークを負かしたことがあるのはウチの馬とエクセラントカーヴぐらい。いい馬場でやれれば勝負になりますよ」(矢野助手)
新時代の穴厩舎所属のサンレイレーザー。しっかりマークしておかねばなるまい。
(栗東の坂路野郎・高岡功)