何とか打倒シンボリクリスエスを果たしてくれそうな3歳馬リンカーンに期待してみたが、2分30秒5のレコードでクリスエスに独走されては、これはもうクリスエスの2連覇達成を素直にたたえたい。通算15戦して、[8-2-4-1]。宝塚記念で5着にとどまったり、ジャパンCで3着に沈むなど、4歳の今年はやや波があったが、種牡馬入りの引退レースで、万事うまくおさまった形だ。
今回の有馬記念、各陣営ともに勝つためのさまざまな強気な戦法を取り、レースの前半から盛り上がった。ペリエ騎手のクリスエスをゼンノロブロイ、リンカーンなどの3歳馬がピタッとマークする位置どりを考えたが、ペリエはあくまで冷静。一周目のスタンド前で、当面の敵をすべて前に置く6番手。前走のタップダンスシチーは自分の形にならず、それをリンカーン・ゼンノロブロイがマークし、ペリエ=クリスエスはライバルをすべて見ることのできる位置になった。
さらには、タップダンスシチーがスパートするより早く、豊のリンカーンが一気にスパートし、クリスエス(ペリエ)は、タップダンスを3角すぎで外から内にとじ込めることまでできた。豊のリンカーンが動いたのだから、最も怖い馬を徹底マークこそ身上のペリエ騎手はスパートのタイミングを考える必要もなかった。武豊騎手、なんと6回目の有馬記念2着(1着は一度)という記録も残った。
ゼンノロブロイは、上がり37.0秒になった同期のリンカーンを差せなかったことから、やはり長距離向きではないだろう。2000m前後がベストだ。ザッツザプレンティはかかってしまった。まだ若い3歳馬だけに、これは安勝も想定外のことで、前半からきびしい位置どりを目ざした馬がいるだけに仕方がなかった。タップダンスシチーも先行一手型の弱み、レースの流れに注文がつくのは仕方がない。この馬、来季も長距離戦のレベルを上げてくれそうだ。