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「為せば成る」の精神

  • 2014年10月23日(木) 12時00分


ショウナンパンドラとディアデラマドレの勝利

 勝算があるかどうか、それは難しい判断だが、少しでもあると思うなら実行あるのみではないか。まして勢いがあると感じるなら、不利な条件をはねかえす心意気がものを言う。「為せば成る」の精神だ。物事を成功させるには、そこまでの熟慮があり、その上で断行するのだが、きちんと為せるかどうかは、やはり事前の準備がどこまでできているかにかかっている。「為せば成る、為さねば成らぬ、何事も、成らぬは人の為さぬなりけり」を思い出す。「為さねば成らぬ」と強く心すること、目標に立ち向かうときに欠かせない。

 秋華賞馬に輝いたショウナンパンドラは、素質はありながら春は非力で肝心なところでブレークできなかったが、8月に復帰して以降、スタートが上達し思い通りの位置で流れに乗せて戦えるようになっていた。その背景には、食いの細さが解消してかなりの負荷をかけたトレーニングをこなせたことがあり、これは陣営にとって大きな自信となっていた。当然浜中騎手にも「為せば成る」の思いが強く、それが、内をロスなくさばければ勝機ありと判断させたのだった。速いペースにもしっかり中団を追走し、直線入口で射程圏内に前を入れ、残り200米、「為さねば成らぬ」と先頭に出て勝利をつかんでいた。父がディープインパクト、母系に大舞台向きのステイゴールドがいる血脈。強い牝馬の資格を十分に持っている。

 そして、府中牝馬ステークスで重賞2勝目を飾ったディアデラマドレも「為せば成る、為さねば成らぬ」を実践していた。藤岡康騎手は具合の良さを実感していたから、リズムよく運べさえすれば、持ち味である末脚を最大限に生かせると確信していた。後方で折り合いに専念できたのも自信があったからで、切れ味全開でGI戦線に名乗りをあげたのだった。「為せば成る」の思いを持てることが第一で、次に「為さねば成らぬ」と心をかき立てる、伏兵馬にはこうした背景があり、馬が充実期に入る秋だからこそ時折見られるシーンだと思う。

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ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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