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ニュー安田式でビシバシ鍛えられた超良血/吉田竜作マル秘週報

  • 2014年10月22日(水) 18時00分


◆安田翔助手「かわいがるだけではダメ。鍛えなくては馬は強くならない。やれるだけのことをやっていく」

 トレーニングの主な目的は運動器の強化と動作の固定化。それはサラブレッドもアスリートも突き詰めれば同じことだ。しかし、そのアプローチの仕方は多岐にわたる。トレーニングをする人や馬にもよるし、何をするかによっても異なるからだ。競走馬の場合は「走る」ことが基本にはなるが、その中にはハミの受け方や手前の替え方も関わってくるだけに簡単にくくれるものではない。

 今、栗東トレセンでは新しい波が起きている。2週前のこと。ウッドの調教を何げなく見ていると、安田厩舎の2歳馬がゴール板を通過した。ここまでは普段から何度となく見る光景だ。しかし、ここからが違った。普段の安田厩舎のパターンなら向正面の出口から地下馬道を通って厩舎へと引き揚げるのだが、この日はゴール板を通過した後もゆっくりペースを落としながらダクへと移行。4コーナーを回ったところにある出口から引き揚げていったのだ。簡単に言うなら、いつもは1周ちょっとで引き揚げる調教を2周近くしたことになる。この変化は何を意味するものなのか?

「今夏の北海道で持ち乗りの助手さんとかと調教をしていたら、ゴールと同時に流す感じなんですよね。鍛えるという観点で言えば、これではあまり意味がないんじゃないかと。馬が本当にしんどくなるところまで走らせて、そこからもうひと頑張りさせる。そうやらないと馬は強くならないんじゃないかと思って」(安田翔助手)

 現在入厩している2歳馬にはゴール板を意識させず、その馬の体力に合わせて調教をするようになったというのだ。

「ゴールを過ぎてもスピードを緩めないし、頭を上げそうになったところでもうひと踏ん張りさせる。それで向正面くらいまで流し、そこから止めにいって、あとはダクでクールダウンしながら(スタンド)正面へ、という形に。坂路に比べると、どうしても馬に負荷がかからないですからね。これくらいの距離を乗らないと。ウッドでこれだけ乗れば、ハミの受け方や手前の替え方なども意識して練習できます」とその方法と効果を説明してくれた。

 もちろん、調教とは馬へかける負荷を強めればいいものでもない。しかし、ここまでいろいろなやり方を模索してきた彼がこの結論にたどりついたのが実に興味深い。なぜならウッド2周の基本メニューは松田博厩舎のスタンダードでもあるからだ。松田博厩舎の場合は前半の半周をゆっくりと入り、そこからペースを上げていくやり方。厳密に言えば中身はちょっと違うのだが、目指すべき理想はかなり近い。

「かわいがるだけではダメ。鍛えなくては馬は強くならない。やれるだけのことをやっていく」

 これは松田博調教師ではなく、安田翔助手から出た言葉だ。年齢にしてひと回りどころか、ふた回り以上違うホースマンが、くしくも近い結論を導き出したことになる。年代、時代は違っても「馬を鍛える」ための根っこの部分はこれからも確実に受け継がれていくのだろう。

 兄にリディル、クラレント、レッドアリオン…。超良血レッドベルダ(牝=父ディープインパクト、母エリモピクシー)はまさに今、“ニュー安田厩舎”の薫陶を受けており、次週土曜(11月1日)の京都芝内1600メートル新馬戦でデビュー予定だ。

「重い馬場でもバランスを取って上手に走るんですよ。ちょっとカッとなるところは出てきたのですが、いいものは持っていますね」と安田翔助手。血統も走りも一流となれば…。それこそ先の凱旋門賞で涙をのんだ日本馬のリベンジを託すことまで夢見てしまうのはちょっと気が早過ぎ? ともかく今後の安田厩舎とレッドベルダには注目してほしい。

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