スマートフォン版へ

本質はマイラータイプ/富士S

  • 2014年10月24日(金) 18時00分


もまれない外枠はかえって有利

 11月23日(日)のGI「マイルCS」に向かおうとするグループの有力な前哨戦。ただし、いつもマイルCSの直前になって思うのは、富士Sの上位組は時計も十分すぎるほどであり、東京のマイル戦をこなしたからGIの有力馬になっても不思議ではない。と最初は考えるものの、しかし、いざGIのマイル戦となると……、その底力や総合能力を考え直したい馬が大半になることが多い。

 実際、富士Sが10月のこの時期になって過去14年、ここをステップにマイルCSを勝ったのは、2002年のトウカイポイント(富士S5着)と、2011年エイシンアポロン(富士S1着)の2頭にとどまる。2着は2010年ダノンヨーヨー(富士S1着)など3頭いるが、合わせて14年間のマイルCS連対馬28頭中の「5頭」。

 味のあるメンバーは揃うが、GIの有力なステップレースのようでいて、案外そうでもなく、京成杯AH組などが主役になるいかにもGIIIらしいマイル戦がその特徴か。

 ベテランに近い5歳馬の快走が目立ち、3歳馬の台頭はあまり多くないという傾向があるのは承知で、3歳クラシック路線からこちらに回ってきた3歳ステファノス(父ディープインパクト)から入りたい。春の「毎日杯」1800mでは、直線一度は先頭に立ちかけたところを内からマイネルフロスト(父ブラックタイド)にすくわれ、ハナ、クビ差の同タイム3着。つづく「皐月賞」は、直線に向いて一度はイスラボニータ、トゥザワールドに迫ろうかという5着(0秒4差)だった。負けたのは菊花賞や天皇賞・秋の有力馬である。

 前回のセントライト記念はやっぱりイスラボニータの4着どまりだったから、菊花賞路線を外れたが、苦しい位置に入ってどうみても脚を余した印象がありながら、勝ったイスラボニータと0秒2差だった。本質はマイラータイプか。

 祖母はGI格の南部杯など、ダートの重賞5勝含む全9勝を挙げたゴールドティアラ(父シーキングザゴールド)。そこにクロフネを配したのが母ココシュニック(3勝)。マイラー色は十分に濃い。ディープインパクト産駒は、この富士Sにここまで3頭が出走し【1-2-0-0】という成績があるが、ステファノスは、いまのところGIというには総合力不足でも、GIIIのマイル戦なら…いかにもそんなイメージである。東京のマイル戦はもまれない外枠はかえって有利。まして3歳のこの馬は馬群の真っ只中は歓迎ではない。

 有力候補があふれるから、相手を絞るのに苦心するが、ここ3戦は決して能力通りではなく、全然まともなレースはしていないという意味で5歳エキストラエンド。田辺騎手で勝った星がある。そして、ここならまず崩れそうにないダノンシャークが本線。奇しくもみんなディープインパクト産駒となった。

 人気は割れるだろうし、買い方は難しいが、人気のないところでは、絶好調シャイニープリンス(父キングヘイロー)はぜひ相手に入れておきたい。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング