6歳タイムパラドックス(父ブライアンズタイム)はダート巧者にしては決してパワフルではなく、とくに500キロ級の馬に囲まれたりすると非力な面が出る死角があった。
今回は、逃げたスマートボーイのペースが上がらず5ハロン通過61秒7のスローにも近い流れ。好スタートで3〜4番手につけたタイムパラドックスは、すんなり追走でき、馬群に入らないで済んだ。3コーナー手前から安藤光騎手が気合を入れ通しにみえたが、出走に苦しんでいたのではなく、ハミを取っている形ではなく少し息を抜いていた。外からミツアキタービンが並んだあたりから、行きっぷりが良くなり、フルにしぶとい差し足が生きている。サクラローレルのいとこ。タフな牝系の出身で、遅まきながら本格化した今季、ときに凡走はあっても、もうひとつぐらい重賞はいけるかもしれない。
クーリンガーは昨年に続き2着。決して好調といえる直前の動きではなかったが、ためではなく、流れに乗れる自在性と粘り強さがフルに生きた。ゆったりした平均ペースになり、道中ずっと12秒5前後の一定ペースが刻まれたのが良かった。
同じフォーティナイナーの人気馬ビワシンセイキは難しい馬で、タイプはクーリンガーと同じ。楽にタメて折り合ってもスパッと伸びる馬ではなく、前走の東京大賞典の3着は早仕掛けといわれたが(そうではなく)、他馬より一歩早めにスパートしないと、実は差す足のないタイプ。だから惜敗が多い。
公営のミツアキタービンは初の強敵相手に6着。大きく負けたわけではなく、今後はもっと強くなりそうだが、これもビワシンセイキと同じでスパートを待ったからといって追って伸びるタイプではないかもしれない。
シロキタゴッドランは好調にはみえたが、きびしい競馬の連戦で目にみえない疲れがあったろう。動きが硬かった。