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ラブリーデイ、ニホンピロアワーズ、レオパルディナ、アクティブミノルなど4重賞分析

  • 2014年11月05日(水) 18時00分


GIのステップとなる4重賞に出走する注目馬の最終追い切りを分析

 まずは天皇賞・秋、◎サトノノブレスで馬券のお役に立てなかったことをお詫びします。しかし、サトノノブレスを◎にしたことは後悔していませんし、スピルバーグを無印にしたことを後悔もしていません。後悔するとすれば、前半3F36.4秒という、同日8Rに行われた東京芝2000mの前半3Fよりも0.2秒も遅いペースになったことです。近5年において、ここまで前半のペースが遅くなった年はなく、平均ペースになってこそ、自分が予想した適性のある調教タイプが好走すると考えていたので、今年はイレギュラーだったと納得しています。

「プロだから、そこまで予測して、勝ち馬を当てるべき」といったご意見もあるかも知れません。それは「予想軸のブレ」に繋がると思いますし、こうだ、と決めつけることでその予想が嵌まるということもあると思います。私の場合、競馬場のコース形状や距離によって、必要な運動量がこうだから、必要になる調教はこうだという決め付けですよね。まして、今年の場合は、カレンブラックヒルの調子が良いと判断していたので、この馬が後続を引き離す逃げを打てば、このようなペースになるとは思っていませんでした。

 言い訳がましいことを書いてしまいましたが、これは仕方ないと割り切れるからこそ、その予想が大きな的中に繋がる時もあります。目の前の結果だけを見て、自分の予想理論を否定したくない、そう思ったので、今回のようなことを書かせていただきました。

【アルゼンチン共和国杯/ラブリーデイ】

 1番人気に支持された目黒記念では、個人的にやや物足りない内容で終わったと思います。今回はひと息入れて、立て直してきたので、どのくらいやってくれるか、非常に注目していました。

 中間の追い切り本数はごく標準ですが、これは同じレース間隔だった金鯱賞2着時とほとんど変わりありません。中間の併せ馬でも遅れが目立っていて、それは今回も同じ。休み明けの追い切りはあまり動かないという解釈をしてもよいのでしょう。ただ、気になるのはラスト2F時計の遅さ。2F25.6秒は今年の最終追い切り場所坂路の最終追い切りでは最も遅い数字。そして、有馬記念12着時の2F25.8秒に近い数字となります。

ラブリーデイ(10月28日撮影)

休み明けの追い切りはあまり動かないが、ラスト2F時計の遅さが気になるラブリーデイ(10月28日撮影)




【みやこS/ニホンピロアワーズ】

 2014年になって、東海S、ダイオライト記念での重賞勝利はあるものの、フェブラリーSと帝王賞での負けが印象強くなってしまっています。58キロを背負ったアンタレスSでは、アタマ+アタマの3着ですから、決して衰えなどはないと思っているのですが。

 今回はレース間隔があくので、トラックでの追い切り本数を十分にこなしてきました。最終追い切り場所はDP。単走でしたが、スピード乗りは上々。6F79.2秒でラスト1F11.0秒の鋭い伸びでした。これはダイオライト記念1着時の追い切り内容に似ているだけに、決して悪い内容ではありません。参考までに、2012年みやこS2着時の最終追い切り場所を記しておくと、CWでした。そこで一杯に追われていた内容に比べると、負荷自体は今回の方が軽くなります。

ニホンピロアワーズ(11月5日撮影)

ダイオライト記念1着時の追い切り内容に似ているだけに決して悪い内容ではないニホンピロアワーズ(11月5日撮影)



【みやこS/ナムラビクター】

 野村彰彦厩舎の定年解散により、福島信晴厩舎へ転厩して、4走していますが、2勝2着1回の成績。担当者がそのまま馬に付いていったことも、成績を落としていない要因のひとつだと考えていますが、近2走は追い切り前にちょっとした「嫌々」をしています。

 前走時の最終追い切りでは、CWに入場する際に嫌々。そんなことがあってか、今回は坂路での追い切りとなりましたが、やはり変わらずに嫌々を見せる素振り。追い切りは普通にこなせましたが、時計は終いが止まり気味の4F55.5秒、1F14.3秒。厩舎を移ってからは、初めての坂路追い切りでしたし、調教内容から特に強調できる点がないというのが正直な感想です。

【ファンタジーS/レオパルディナ】

 デビュー前の追い切りでは、馬なりで坂路4F52.8秒をマーク。かなりスピード能力の高い馬だと感じていましたが、ここまでの3走の内容を見ていると、イメージ通りの走り。ただ、小さな馬体を維持しなければいけないという点が、強い追い切りで負荷をかけることができない要因になっているようです。

 しかし、1週前追い切りはCWで速い時計を出し、最終追い切りも極端に遅い時計ではなく、4F54.8秒とごく普通の時計。これで馬体重が減っていないようであれば、本来の能力をきっちりと出してくれるのではないでしょうか。

レオパルディナ(11月4日撮影)

小さな馬体を維持しなければいけないという点が、強い追い切りをかけることができない要因になっているレオパルディナ(11月4日撮影)



【京王杯2歳S/アクティブミノル】

 函館でのデビュー戦はたった2本の追い切りで勝ち、函館2歳Sには連闘で出走して優勝。調教からは決して推すことができない内容が続いていましたが、休み明けを挟んで、栗東に入厩してからは、いたって普通に追い切りをこなしています。

 むしろ、1週前追い切りのCW(画像)では、併せ馬をきちんとこなし、速い6F時計をマーク。最終追い切りは坂路になりましたが、1F12.1秒の伸び。全体時計は4F55.1秒と遅いとはいえ、12.1秒の時計を出せる脚力は評価すべきでしょう。2週にわたる追い切りの動きを見るかぎり、単なる函館巧者というわけではないような気がします。

アクティブミノル(10月29日撮影)

全体時計は遅いとはいえ、12.1秒の時計を出せる脚力は評価すべきのアクティブミノル(10月29日撮影)



◆次走要注意

・11/1 東京 アルテミスS【シャルール】(2人/8着)

 新馬戦の強い勝ち方が完全に影を潜めた形となりましたが、東京競馬場までの輸送や左回りなど、初めて経験することが多かっただけに、今回は度外視してもよいでしょう。
 ただ、次走は試金石。きっちりと追い切りをこなした上で出走してくれば、重賞でも十分に通用する器だと思います。

[メモ登録用コメント] [芝1600m以上]併用系統の調教タイプなら勝ち負け

・11/2 福島 河北新報杯【クラウンカイザー】(9人/3着)

 ダートで勝ち上がったばかりということもあり、人気薄での出走でしたが、馬券総合倶楽部でも取り上げたように、好走の可能性を秘めた追い切り内容でした。
 好スタートから押し切るかに見えたあたり、芝でも全く問題ありません。ただ、福島芝1200mのコース形状が向いているだけなので、他場では人気で凡走の可能性もあります。

[メモ登録用コメント] [福島芝1200m]最終追い切り場所栗Bなら勝ち負け

◆今朝の追い切り特報

・2歳新馬【トゥルビネ
 11月9日京都芝1600m(牝)に出走を予定しており、ここはメンバーの質が高い一戦となりそうですが、その中でもヒケをとらない動きを見せたのが、最終追い切り。
 グランデサムライを追走するCWでの追い切りでしたが、内から並びかけて、前に出ると、更にひと伸びして、6F81.7秒をマーク。なかなか力強い走りで、将来的にはダートの方が結果が出そうな気もしますが、とにかく初戦から注目しておきたい存在です。

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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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