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高野友和調教師/エリザベス女王杯(1)『預かった時からクラシックを意識していた馬』

  • 2014年11月13日(木) 12時00分
激白

▲ショウナンパンドラを管理する高野調教師、GI連勝への意気込みを語る


牝馬三冠のラストを飾った秋華賞は、圧倒的1番人気に支持されたヌーヴォレコルトを抑え、3番人気のショウナンパンドラが勝利した。パンドラ自身にとっても、管理する高野友和厩舎にとっても、初重賞制覇が初GI制覇というダブル快挙だった。同世代の強敵を退け、次なる戦いはエリザベス女王杯。歴戦の古馬牝馬に挑む気持ちを、高野調教師に語ってもらった。(取材・文:赤見千尋)

ネコ科の動物のような、しなやかな動きをするんです


 桜花賞馬ハープスターの凱旋門賞参戦を受け、秋華賞ではオークス馬ヌーヴォレコルトに人気が集中した。秋初戦のローズSを快勝し、盤石の態勢で秋華賞に挑む女王に死角はないように思えたが、コンビを組む岩田康誠騎手は、最大の敵としてショウナンパンドラの名を挙げていた。自分自身の手で秋華賞へのチケットを渡したからこそ、岩田騎手にはショウナンパンドラの強さが分かっていたのだろう。

「岩田騎手に強敵として名前を挙げてもらえたことは、とても嬉しかったですね。秋華賞はヌーヴォレコルトに騎乗することがわかっていましたから、僕も敵に手の内を見せた形ですけど、この時はとにかく権利を獲ることが一番だったので。正直、目の前のレースのことしか考えていなかったです。岩田騎手なら、本番にライバルになることがわかっていても、手を抜くことは一切ないですし、秋華賞への権利獲り請負人という感じでとても信頼していました」

 8月に復帰した時、ショウナンパンドラはまだ1勝馬だった。500万条件、そしてトライアルの紫苑Sと、絶対に落とせない戦いが続いていた。しかし、休養を挟んでリフレッシュしたショウナンパンドラは、レースぶりが一変。課題だったゲートも安定し、懸念されていた馬体重も増えていた。

「何よりも一番変わったのは食欲です。これまでも全く食べないということはなかったですけど、食欲旺盛という感じではなくて…。その分、どうしても調教を加減しなければならなかった。でも、休養中に牧場のスタッフがよくやってくれて、背も高くなったし、幅も出て、食べたものが身になるようになったんです。ここからは、順調だったらやりたいと思っていた調教が、すべて出来るようになりました」

 牝馬にとって、“食欲”というものは天から与えられた才能の一つではないだろうか。人間が介入しきれないこの問題を、たった2か月半の休養で乗り越えて見せたのだ。復帰後さらに力を付けたショウナンパンドラは、超不良馬場の紫苑Sでクビ差の2着に入り、見事秋華賞への出走権を獲得した。

「正直、ホッとしたというのが一番です。馬も頑張りましたし、ジョッキーの好アシストも大きかったですね。もちろん勝つことが目標でしたけど、権利を獲ることが最大の目標だったので、そこは果たせたかなと。春はなかなか勝てなくて、もどかしい気持ちもありました。これだけの血統の馬を預けていただいたわけですから、オーナーの期待はクラシックだろうと感じていましたし、この馬を預かった時からそこを意識していたので。オーナーが喜んでくれてるんじゃないかと思うと、とても嬉しかったです」

 春のクラシック路線を歩むことは出来なかったけれど、残り少ないチャンスを活かして秋華賞への切符を掴んだ。ここから、新馬戦からフラワーCまで手綱を取っていた浜中俊騎手とのコンビが復活。1週前追い切りに騎乗した浜中騎手は、春からのパワーアップを感じていた。体はもちろんのこと、メンタル面の成長も大きかったという。紫苑Sで激走した後も食欲が落ちることはなく、秋華賞へ向けて考えていた通りの調教を消化し、最高の状態で秋華賞へ出走した。

「装鞍所やパドックでの歩きを見て、贔屓目もあると思いますけど、本当にいい歩きをするなと思いました。この馬はデビュー前

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GIの注目馬にスポットを当て、主戦騎手や管理調教師を独占取材するnetkeibaのスペシャルインタビュー。GIに向けた意気込みや中間の調整過程、レース後に直撃し、戦いの舞台裏にあった知られざる真実を語っていただきます。

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