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強敵牡馬相手の2千メートル戦にあえて使う、フローレンスダンサー/吉田竜作マル秘週報

  • 2014年11月26日(水) 18時00分


◆最後のクラシックとなる来年に向け、いよいよ牡馬と牝馬のエースが揃った松田博キュウ舎

 今年の京都開催もいよいよラストウイーク。当コラムの注目レースはGIIIに昇格した京都2歳S(29日=芝内2000メートル)だ。距離設定を考えれば、施行者側が牡馬をターゲットにしていたことは容易に想像がつくが、活用するのはあくまでオーナー、そしてキュウ舎サイド。「2歳のうちなんて牡馬も牝馬もない」と公言する松田博調教師にとっては、施行者側の思惑など関係ないし、牡馬の実力馬が揃ってもお構いなし。フローレスダンサーをこの一戦にぶつけてきた。

 基本的に中距離志向の強いキュウ舎とはいえ、さすがに早い時期の牝馬は「桜花賞まではマイルまでしか走る必要がないから」と、マイル戦を中心に使うことが多かった。となれば牝馬限定の500万下・白菊賞(30日=京都芝内1600メートル)が適番になるが…。松田博調教師にこの選択をさせたのはフローレスダンサーの前走、アルテミスS4着の走りの中身にあった。

 ゲートの中で少しそわそわするところを見せ、ポコンとスタート。他馬に比べて半馬身ほど遅れて出た後の挙動がトレーナーのイメージと違っていたという。

「(札幌の新馬戦を勝って以来で)久々だったし、初めての長距離輸送での競馬。血統的(母は気性の難しさで知られたダンスインザムード)にも競馬に行けばもっとピリピリすると思っていたんだが、のんびりしてるんだよな。ルメールが押しても進んで行こうとしなかったもの」

 そのまま馬群の後方を追走。直線では外に出そうにも出せず、進路はインに限定されてしまう。最後はうまくスペースを見つけて脚を伸ばしたが、時すでに遅し。上がり33秒5というメンバー最速の末脚を駆使したものの、前を捕らえるまでにはいかなかった。

「あれでは短い距離は使えない。これくらいの距離の方がレースはしやすいだろう」という決断に至り、牡馬にぶつけることになったのだ。

 橋口調教師の評価がめっぽう高い野路菊Sの覇者ダノンメジャー、好タイムで萩Sを制したエイシンライダー、紫菊賞(500万下)レコード勝ちのティルナノーグといった無敗馬ほか、強力牡馬がエントリー。楽な競馬は望めないだろうが、「牝馬にしてはいい馬体をしているし、何よりおとなしいのがいい」と名伯楽がホレ込む好素材。強敵相手でも必ずや“爪痕”を残してくれるはずだ。

 松田博キュウ舎の話題をもうひとつ。キュウ舎ゆかりの血統“レーヴ一族”がいよいよ始動。レーヴドリアン(10年きさらぎ賞2着)以来の牡馬となるレーヴミストラル(父キングカメハメハ、母レーヴドスカー)が、暮れの阪神開催初日(12月6日)芝内2000メートル新馬戦に岩田とのコンビで臨むことが決まった。先週の追い切りでは馬なりのまま上々の動きを披露。先入観もあるだろうが、やはり走りや馬体には走る馬独特の雰囲気がある。

「入キュウしてからは順調にきた。牧場の期待も大きい馬だからな。走ってもらわないと」

 松田博調教師にとって最後のクラシックとなる来年に向け、いよいよ牡馬と牝馬のエースが揃った。

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