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クラリティスカイ、一点の曇りなし/トレセン発秘話

  • 2014年12月17日(水) 18時00分


◆友道康夫調教師「いちょうSの勝ちっぷりからしても、GIでもいい競馬をしてくれるんじゃないかな」

「ダービーからダービーへ」というサイクルをJRAが打ち出し、ダービー翌週に新馬戦をスタートさせた2012年が2歳馬の「番組改革元年」だったとするなら、今年は第2次改革にあたる。

「2歳重賞体系の大幅な改善を行う」と宣言し、番組の“大手術”に着手。暮れの阪神で開催されていたラジオNIKKEI杯2歳SをホープフルSとして中山で行い、逆に朝日杯FSを中山から阪神へ。その他、新設重賞として東京でいちょうS、京都で京都2歳Sを施行した(ほかにも一部重賞競走の施行時期を変更)。

 この一連の流れの根底にあるのは、もちろん2歳戦のさらなるボリュームアップ。昨年のダービー翌週に行われた新馬戦を制したイスラボニータが今年のダービーで1番人気に支持された事実は、主催者が推し進める「2歳戦早期化&充実化」が現場サイドに着実に浸透していることを象徴する出来事だった。

 この“時流”に乗ることができず、かつての王道だった「素質馬は秋開催まで待機」にこだわっているようなキュウ舎は、いずれ取り残されていくことだろう。逆に言えば、早期化のトレンドにしっかり乗った者こそが、新時代の主流を担っていくことになる。

 友道康夫調教師(51)は今年、流れにきっちり乗った。先週(14日終了時点)までの2歳戦に管理馬を計35走させ、9勝、2着6回で連対率4割超えの高打率。同時期の出走&勝利数が昨年は13走で3勝、一昨年が21走で4勝だから、出走回数、勝ち鞍ともに、その違いは歴然。そう、今年の友道キュウ舎の2歳馬は始動が早く、なおかつ結果も出している。

「2歳馬の成績がいい? 今年は牧場の段階から、すごく順調にきた馬が多かったからね。こっちは馬に合わせてやっているだけだよ」とトレーナーは謙遜するが、そうした仕上がりのいい馬を揃えていること自体が流れに乗れている証拠だろう。

 朝日杯FSに出走するクラリティスカイは、そんな友道2歳軍団の主翼を担う一頭。勝ち上がるのに3戦を要したが、「デビュー当初はダート馬かなという印象もあったくらい。それが夏に休養をさせてから体つきが変わって、いい脚を長く使えるようになった。未勝利を勝った時が、まさにそんな感じだったね」(友道師)。

 9月の阪神芝外1800メートル未勝利戦でトーセンビクトリー(キングカメハメハ×トゥザヴィクトリーの良血馬)を完封すると、返す刀で新設重賞のいちょうSをレコードV。その後は、すぐにこのレースを目標に設定して、じっくり調整を進めてきた。

「1600メートルという距離よりも、直線の長いコースを使いたかったから、この朝日杯を選んだ。追ってからがしっかりしているので、広いコースで力を出せるタイプだと思っているからね。1週前追い切り(10日=ウッド6ハロン83.4-12.3秒)では少し重いかなという感じだったけど、週末の微調整(14日=ウッド5ハロン73.9-12.4秒)と直前の追い切りで、きっちり仕上がると思う。いちょうSの勝ちっぷりからしても、GIでもいい競馬をしてくれるんじゃないかな」(友道師)

 ちなみに名手・岩田がデビュー2戦目から3戦連続の騎乗でデイリー杯2歳Sのタイトルを獲得したタガノエスプレッソではなく、未勝利勝ち時のみコンビを組んだこのクラリティスカイに騎乗するのも、恐らく理由は「先約だったから」だけではあるまい。

 トリッキーな中山から阪神外回りという底力が問われる本格コースに舞台を変えた2歳チャンプ決定戦。同じ本格コースの東京1600メートル重賞をレコード勝ちしたクラリティスカイこそ、実質上の“第1回”朝日杯FS覇者にふさわしい資格を備えた馬と言えるだろう。
 (栗東の坂路野郎・高岡功)

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