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冬季繁殖馬セール

  • 2015年01月22日(木) 18時00分
ジェイエス主催による繁殖馬セール風景

ジェイエス主催による繁殖馬セールの風景


国内では唯一の秋と冬に二度開催されるセールであり存在意義は大きい

 毎年この時期の恒例行事となった(株)ジェイエス主催による繁殖馬セールが、去る1月21日(水)、新ひだか町の北海道市場にて開催された。

 午前11時開場、せり開始が午後1時という、ゆったりとしたスケジュールが組まれ、日高を始め、各地から多くの生産者や馬主などが来場した。天候は晴れ、微風。この時期としては割に暖かい。

 上場予定頭数は、当初48頭に達していたが、当日になり計7頭の欠場が発表され、最終的には41頭となった。理由は明らかにされていないが、これにより、過去5年間の同市場では最も少頭数のセリになってしまった。

 因みに過去5年間の上場頭数の推移をみると、2009年46頭、2010年65頭、2011年44頭、2012年45頭、2013年53頭、2014年53頭である。上場馬のレベルによる部分も大きく、売り上げ総額、売却率ともに、年によってかなりのばらつきがある。

 冬季のこの時期、生産地では伝染性鼻腔鼻肺炎(ERV)などによる流産の発生などが懸念されることから、今回のセリでも、受胎馬と、不受胎馬及び未供用馬の待機馬房は十分な距離を保たれた。上場順も、前半に受胎馬、後半に不受胎馬と未供用馬というように区分され、最後の受胎馬の上場が終わり待機馬房まで帰るのを見届けてから、たっぷりと時間をおいて不受胎馬が登場するというような配慮がなされた。

 今回のセリで最も多頭数を上場したのはトウショウ産業トウショウ牧場の10頭で、いずれも受胎馬である。また、栄進堂6頭、千代田牧場6頭、ダーレー・ジャパン5頭などというところが目についたが、ダーレー上場馬は全馬欠場した。

 定刻通りにセリが始まり、5番目に登場した「ウイントゥルーラヴ」がステージに現れると、会場は一気にヒートアップ。300万円からのスタートとなった価格は見る見る間に上昇を続け、2500万円で決着がついた。新冠町の村上欽哉牧場からの上場馬で、落札者は了徳寺健二氏。ウイントゥルーラヴは、父ロックオブジブラルタル、母ラヴインハーハート、母の父モンジューという血統の7歳鹿毛で、自身9戦1勝の成績を持つ。2013年、14年と続けて出産しており、今年は3頭目のゼンノロブロイの仔を出産予定(2月27日予定日)。三代母はウインドインハーヘア。ディープインパクト、ブラックタイドなどが近親馬に名を連ねている母系である。

最高価格は「ウイントゥルーラヴ」

最高価格は2500万円の「ウイントゥルーラヴ」



 このウイントゥルーラヴが断然の高額馬で、二番目以降は1000万円を割り込んだ。次点は8番「メルヴェイユーズ」(父エルコンドルパサー、母ノースフライト、母の父トニービン、12歳黒鹿毛、ヘニーヒューズを受胎)の880万円、三番目は12番「レディオーキッド」(父アグネスタキオン、母レディイン、母の父Kendor、10歳栗毛、キングカメハメハを受胎)の800万円であった。

 また不受胎馬、未供用馬では、80番「アヴェクトワ」(父チチカステナンゴ、母キストゥヘヴン、母の父アドマイヤベガ、4歳黒鹿毛)の500万円が最も高額であった。

80番「アヴェクトワ」

未供用馬の最高価格は「アヴェクトワ」



 最終的には41頭中31頭が落札され、売却率は75.61%、売り上げ総額は消費税込みで9156万2400円。落札馬の平均価格は、受胎馬が390万8329円、空胎馬179万4343円、全体を通しての数字は295万3626円であった。

 市場を振り返って主催者である(株)ジェイエスの藤原悟郎社長は「諸事情から欠場馬が出て頭数が少なかったものの、平均価格は昨年冬のセリよりも上昇していますし、まずまずの結果だったと思います。やはり頭数をより確保するのが反省点でもあり、今後の課題と考えます。点数をつけるとすれば75点〜80点といったところでしょうか。」とコメントした。

 昨年もそうだったように、冬季の繁殖馬セールは、いかんせん頭数を揃えることが毎年の大きな課題である。だが、繁殖牝馬の流通を目的としての市場は秋と冬に二度開催されるジェイエス主催のこのセールが国内では唯一であり、存在意義は大きい。「このセールは今後も続けます」と藤原氏は力強く明言しており、さらなる発展が期待される。

 ところで、今回のセールから、上場馬の競走成績欄に新たに「収得賞金額」が追加記載されるようになった。従来は「1勝」「○○(地方競馬名)3勝」などという表記のみであったが、それに具体的な賞金額が追加されたのだ。これは大きな進歩で、例えば、同じ中央1勝であっても、2着3着の回数が多ければ収得賞金は増す。賞金額を明記することで、当該馬の競走成績がより具体的に分かりやすくなったのはありがたい。

 さらに注文をつけるとすれば、賞金額に加えて、[2-1-0-6]というような、1着、2着、3着、着外における数字が分かるとより親切なものになるが、いかがなものだろうか。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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