スローの逃げ、あるいは前後半のバランスのとれたマイペースに持ち込むかと思えたローエングリンは、前半46.5-57.6秒。1200m通過1分09秒6。単騎でハナに立ちながらピッチが上がりすぎてしまった。気性面の難しさはある。同じシングスピール産駒で、今季種牡馬として輸入されたムーンバラッドもドバイWCを勝った際、行きたがっていた。
このペースで飛ばし、1分45秒3(上がり35秒7)で粘っているから立派なものだが、今回は体調一歩だったろう。馬体が小さく見えた。こういうタイプの馬、人馬の呼吸がもっとも大切だけに主戦騎手を固定した方がいい気がする。これだけの馬、目下6連敗中というのはあまりにもったいない。
サクラプレジデントはこのペースでも、向正面では行きたがり、武豊騎手がなだめ、ジョウテンブレーヴなどの背後に入れ、馬自身は首を曲げたりしていたが、とにかく折り合うことに成功した。4コーナー手前、外に出して手綱をゆるめたら一気に進出。このあたり調教と同じで、また神戸新聞杯と同様、一気にスパートしてしまうが、今回は11.5-11.9秒の最後の2ハロンでもさらに伸びた。
行き出すと止まらないのは札幌記念も、神戸新聞杯も同じだが、4歳の春、ムキになり方が違ってきた。大凡走の菊花賞、ジャパンCを含め、こちらは武豊が5戦連続しての騎乗。難しい馬に連続して武豊の騎乗は大きい。と同時に、G1馬でもない関東馬に5戦連続の騎乗だから、よほど感じるところもあるのだろう。本格化がみえた。もう陣営も納得だろうが、せいぜい2000mまで。本質が典型的なスピードタイプだ。スワンズウッドグローヴ一族の最大特質が、もっとも初期に輸入されたグレイソヴリン直仔らしく、あふれるスピード能力。小島太師の知り尽くした一族でもある。4〜5着のマイソールサウンド、プリサイスマシーンの2頭。今回は負けたが、G3級からG2級に昇格した。