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ベルラップ、レッツゴードンキなど東西3重賞の調教分析

  • 2015年03月04日(水) 18時00分


弥生賞のベルラップ、ゴールドシップとの豪華併せ馬の内容は!?

 先週の金曜日。後藤浩輝騎手のことを知った時は本当に言葉になりませんでした。親しくさせていただいたわけではありませんが、随分と昔には雑誌のインタビューでお世話になったことがあります。最近では栗東の追い切りに跨りに来た時に会釈する程度でしたから、何を知っているわけでもありませんが、ただご冥福をお祈りするしかありません。

 さて、今週は皐月賞トライアルの弥生賞。東京スポーツ杯2歳Sの覇者サトノクラウン、札幌2歳Sの覇者ブライトエンブレムの美浦所属馬の追い切りの様子も気になるところですが、栗東からも重賞ウイナーが参戦。少頭数でも興味深い一戦になりそうです。また、阪神競馬場ではチューリップ賞、そして弥生賞の前日にはオーシャンSも行われるので、今週は3重賞から馬を取り上げてみたいと思います。

【弥生賞/ベルラップ】

 京都2歳S以来という実戦が気になるところですが、2月5日にノーザンFしがらきから帰厩して、その追い切り本数はかなり多くなっています。2月11日時点で坂路4F54.9秒と速い数字をマークすると、その翌週には坂路4F51.7秒。このペースなら、最終追い切りは軽めにしてくるだろうというのが、個人的な想定でした。

 ところが、最終追い切りはCWでゴールドシップとの併せ馬。相手を見た瞬間に速い時計をイメージしましたが、その通りの内容。最後までゴールドシップの手応えが優勢の追い切りでしたが、ベルラップに対する負荷としては申し分ない内容。ここまで攻めた休み明けがどのような結果になるか、正直走ってみないことには分かりませんが、仕上がり途上ということはありません。

ベルラップ(内・3月4日撮影)

ベルラップ(内・3月4日撮影)



【弥生賞/トーセンバジル】

 中山芝2000mの実績はあるものの、まだ500万下を勝った実績しかありません。そのあたり、メンバーレベルの不安はありますが、他のレースには目もくれず、弥生賞を目指して調整するあたりは藤原英昭厩舎ならでは。

 よって、今回の追い切り内容もここで全力を発揮する仕様。2週続けて、岩田康誠騎手が跨ったCW追い切り。最終追いはセイルラージを追走する内容でしたが、少し追走距離が大きかったので、最後は追いつくか不安でしたが、ラスト1F標識を過ぎてからの反応は上々。最後はきっちりと先着して、時計は6F82.9秒、1F11.9秒。これだけ動くことができていれば、余計なことを考えずに評価することができるでしょう。

トーセンバジル(3月4日撮影)

トーセンバジル(3月4日撮影)



【チューリップ賞/レッツゴードンキ】

 阪神JFの2着は個人的には「勝つレースをして負けた」という判断。正攻法のレースができる馬で、末脚もしっかりしているタイプ。いわゆる大崩れがないタイプだと思いますが、こういった馬が崩れるとすれば休み明け。それだけに、今回の追い切り内容にはかなり注目していました。

 しかし、1週前追い切りにCWを選択した時点で、ほぼ不安はないと判断。その内容は素晴らしかったと思いますし、最終追い切りは私が想定した通り、坂路でラスト1Fが最速になるラップの追い切りを消化。全体時計が遅いのは、牝馬としてはごく定番な仕上げ。勝つ必要がない(桜花賞の出走権はほぼ手中)ので、その分の取りこぼしは想定できても、追い切り内容から割り引く点は一切ありません。

レッツゴードンキ(3月3日撮影)

レッツゴードンキ(3月3日撮影)



【チューリップ賞/クルミナル】

 少し厳しいローテーションに思えたエルフィンSでは、最終追い切りで自己ベストとなる坂路4F時計をマーク。追い切り本数もきっちりこなして、新馬時から2キロしか体を減らさないで出走し、圧勝したレース内容は素晴らしかったと思います。もちろん今回も人気の中心になることは間違いありません。

 しかし、この中間は併せ馬の遅れが目立ちます。過去2戦では遅れたことがなかっただけに、この点を気にしていましたが、最終追い切りもアドマイヤゴッドを追走して、最後まで追いつくことができませんでした。アドマイヤゴッドが休み明けなので、相手が非常に良くなっていると判断すべきなのでしょうが、絶対的な信頼を置いてしまうのはいかがなものでしょうか。

クルミナル(3月3日撮影)

クルミナル(3月3日撮影)



【オーシャンS/ハクサンムーン】

 No.1予想の予想単勝オッズで2番人気。もちろん、本来の能力を発揮すれば、1番人気でも不思議ない馬だと思います。ただ、昨年の同時期にもお伝えしましたが、この馬は暑くなってから本領を発揮するタイプ。確かに今年は寒さが和らいでいることもあってか、昨年より体調が良いと思えますが、それを最終的に判断したのは、最終追い切り。

 時計を要する時間帯であったことは間違いありませんが、前半のペースを考えると、後半はあまり伸びませんでした。時計は4F54.1秒、1F12.7秒。前走時に比べると、雲泥の差で今回が上だと思いますが、ただ、絶好調時に比べると、終いの伸びはひと息。ハナに行くレースになると思いますが、個人的にはここは静観します。

◆次走要注意

・3/1 阪神 4歳上500万下【エヴリシーズン】(16人/8着)

 人気こそありませんでしたが、最終追い切りではラスト1Fが最速ラップを踏んでおり、阪神競馬場では末脚が確実。とりあえず、掲示板に載るかどうかというところでしたが、勝ち馬からは0.5秒差の8着。決して悪い内容ではありません。
 当日は雨の影響で走破時計が速い状態。良馬場なら差し馬の出番もあったでしょうから、良馬場の阪神ダート短距離なら。

[メモ登録用コメント] [阪神ダート1400m以下][良馬場]最終追い切りでラスト1F最速ラップなら馬券圏内

・3/1 中山 富里特別【ゲットアテープ】(3人/10着)

 新馬戦こそ、不良馬場で1着ですが、3走前の稍重馬場では6着しているように、古馬になってからは良馬場前提で好走するタイプ。加えて、中山芝1800mの大外枠は坂路調教馬の本馬にとっては致命的枠順でした。
 ここでひと息入れるようですから、立て直しに期待。夏に降級すれば、即勝ち負けでしょうし、1000万下でも十分にやれる馬だとは思います。

[メモ登録用コメント] [芝中距離][良馬場]最終追い切りでラスト1F最速ラップなら勝ち負け

◆今週の追い切り特報

・千里山特別【カラフルブラッサム】
 阪神JF出走時には◎を打った素質馬。ここにきて、ようやく軌道に乗ってきました。今回は短期放牧明けになりますが、4日のCWでの単走は抜群の動き。この動きを見ていると、福島牝馬SやマーメイドSでの好走がイメージできます。

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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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