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リアルスティール、キタサンブラック、ベルーフなど皐月賞出走馬の調教分析

  • 2015年04月15日(水) 18時00分


人気薄の栗東所属馬にも魅力ある馬がいる皐月賞

 1分36秒7。この時計は桜花賞2着クルミナルの走破時計ですが、これは同日の午前中に行われた3歳未勝利戦を勝ったアレスバローズの走破時計と同じ。このレースの2着サンクボヌールも同じ時計ですから、牝馬のサンクが桜花賞に出走していたら2着? なんてことはナンセンスな回顧ですよね。

 それは分かっていますが、それにしても、極端な桜花賞になってしまいました。◎ペルフィカは「切れ負け」というジョッキーコメントが出ましたが、確かにそうかも知れません。このレース結果の最大の要因は、ここ最近の雨にあるような気がしますが、今週の皐月賞は雨の影響をどこまで受けるか。予報では晴れるようですが、果たして。皐月賞の予想される上位人気は美浦所属馬が多いものの、人気がない栗東所属馬にも魅力ある馬がいますので、今週は皐月賞のみ取り上げました。

【皐月賞/リアルスティール】

 画像は14日の坂路馬場でのキャンターの様子ですが、追い切り日以外に福永祐一騎手が跨るのは珍しいことではありませんが、追い切り前日というのは珍しいかも知れません。14日の雰囲気は非常に落ち着きを感じるもの、というよりも、むしろGIを迎えるにあたっては、やけに大人しいという印象でした。

 最終追い切りはいつも通り、坂路馬場で行われました。15日の坂路馬場については、明日のトレセンニュースでも解説する予定ですが、時計を要する状態。それでいながら、4F52.1秒は自己ベストを更新する数字。きっと、大人しいと感じたのは、走る闘志を内に秘めているということなのでしょうね。これだけスピードを出せていれば、よほどのことがないかぎり、差し遅れるという事態にはならないでしょう。

リアルスティール(4月14日撮影)

リアルスティール(4月14日撮影)



【皐月賞/キタサンブラック】

 先週に引き続き、今週も浜中俊騎手が跨って、Cコースでの追い切りとなりました。先週の追い切りは調教VTRが公開されているので、ご覧になった方も多いと思います。抜け出す時の頭の高さが気になるかも知れませんが、他厩舎の併せ馬がいたことなどを考慮するとあれくらいは気にするまでのことではないでしょう。

 最終追い切りも3頭併せで、前に行くスノーストーム、メイケイヘリオスを追走する形。最後はきっちり先着したので、特に気になる点はありません。むしろ、時計的に6F82.1〜5F66.4〜4F52.1〜3F37.9〜1F12.4秒という数字は水分をたっぷりと含んだ馬場状態を考慮すると評価すべき時計だと思います。

キタサンブラック(4月15日撮影)

キタサンブラック(4月15日撮影)



【皐月賞/ベルーフ】

 京成杯の後から、中間の調教時に気になる点が多々あっただけに、前走の敗戦も個人的には納得しています。それが休み明けだったという理由ではなく、気持ちの問題だと思うだけに、ひと叩きでうんぬんというよりも、走りたいという気持ちがあるかどうかに注目したこの中間でした。

 最終追い切りは初めてDコース、ポリトラック馬場を使用。Cコースの状態が悪かったことを考慮すれば、この選択もアリかも知れません。ただ、その動きがひと息に映っただけに、これを初めての場所で追い切られたからなのか、今の精神状態を示すものなのか、判断の難しいところ。ただ、個人的には前走とあまり変わっていない、という結論にしようと考えています。

【皐月賞/スピリッツミノル】

 すみれS以来になりますが、中間のCコースでの追い切りは本当に目立っています。2週前、1週前ともに併せた相手をぶっちぎる動きを見せているだけに、これまでの戦績通りの勢いを感じずにいられません。

 最終追い切りもCコース。先週に続いて、酒井学騎手が跨りましたが、少しだけ追いかける形の道中。最後は半馬身くらい前に出て先着して、その時計は6F84.0〜5F67.3〜4F52.2〜3F38.0〜1F12.2秒。全体が遅く、終い重点となりましたが、徐々にラップを速めていく走り、そして最後の渋太さはレースでの逃げをイメージされるもの。全体的な追い切り本数が多くないだけに、中身が出来ているかは疑問ですが、動ける体であることは間違いありません。

スピリッツミノル(4月15日撮影)

スピリッツミノル(4月15日撮影)



【皐月賞/タガノエスプレッソ】

 デビューからコンスタントに使われてきましたが、前走が初めての長い休み。3か月ぶりということで、追い切り本数もそこそこという状態で使われて3着。馬体重が6キロ減っていた点からも、初めての中山競馬場に戸惑ったと思われますが、レース自体は器用さを見せて、皐月賞に繋がる内容だったというのが個人的な評価です。

 1週前追い切りの動きが非常に印象的だったので、15日の最終追い切りにも注目していました。併せた相手は先週と同じマイネルハルカゼでしたが、これを前に見て、最後は余裕で内から交わす内容。前走のレースでインを突いたように、馬込みに怯むような性格ではない点が評価できます。時計は6F85.1〜5F69.3〜4F54.5〜3F40.0〜1F12.4秒と少し遅めでしたが、素軽い動きの源は、中間の追い切り本数の増加ではないでしょうか。

タガノエスプレッソ(4月15日撮影)

タガノエスプレッソ(4月15日撮影)



◆次走要注意

・4/11 中山 NZT【マテンロウハピネス】(3人/12着)

 デビューから3戦、ハナに行って結果が出ている馬が、重賞になってハナに行かずに惨敗。これはよくあること。まして、道中の引っ掛かり方を見ると、明らかに逃げた方が能力が発揮できるタイプです。
 ただ、追い切り本数が少なかったことも敗因のひとつだと思うので、次走は本数強化でハナ主張なら。

[メモ登録用コメント] [芝マイル以下]追い切り本数標準以上なら勝ち負け

・4/12 阪神 梅田S【アドマイヤランディ】(2人/8着)

 道中の位置取りを考えると、もう少し中団で競馬して、あの脚を使っていればというレース内容。ただ、個人的には追い切り本数が少なかったので、評価はしていませんでした。
 過去3勝はすべて標準多めだったので、次走が標準多めなら鉄板。これに須貝尚介厩舎の勝負調教が該当すれば、申し分ない仕上げです。

[メモ登録用コメント] [ダート1800m]標準多めなら勝ち負け

◆今週の追い切り特報

・天皇賞春【フーラブライド】
 天皇賞春の2週前追い切り。Cコースでの動きは前走時とまるで違います。珍しく併せ馬で前2頭を内から抜きましたが、その反応が素晴らしい。体も絞れて、大舞台へ向けて、着々と状態はアップしています。

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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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