◆阪神大賞典で“長距離適性あり”
カレンミロティックの阪神大賞典出走が決まった時、思わず平田調教師に返してしまったのは「えっ、なぜ阪神大賞典に?」。対するトレーナーは、ややぶぜんとした表情で「そんなもん、ここでいいレースができたら、天皇賞に行くからに決まっとるやないか」。
それは確かにそうなのだが、阪神芝外1800メートルでのレコード勝ち(垂水S=1分44秒5)など、中距離戦でのインパクトが強かったこの馬、坂路野郎的にはどうしても長丁場でのイメージが持てなかった。しかし、レースが終わって、この采配が間違いではなかったことを知る。
3角で行き場を失い、かつ直線では内で思い切り詰まってブレーキをかけるシーンも…。爆発的な脚はないが、持続的に脚を使えるのが持ち味のカレンミロティックにとって、特に直線の不利は致命的なものだったはずが、そこから立て直してゴール前でグイッと伸びての4着。あれを見れば“長距離適性あり”である。
しかも本来、日経賞に向かう予定が鞍上に合わせた面(M.デムーロは日経賞でのサウンズオブアース騎乗が決まっていた)もあって1週繰り上げての出走。「ちょっと急仕上げだった」(平田調教師)という状態だったのだからなおさらだ。
叩いて確実に良化、好位置で競馬ができる強み、速い時計に対応できるスピード、大崩れしない堅実さ…担当の高阪助手が新聞、雑誌の印を見て「これだけ人気がないとは思わなかった」と低評価に反発するのも当然か。
阪神大賞典組は基本軽視を決めている坂路野郎だが、このカレンミロティックは妙味ある存在として考え直すべきなのだろう。
(栗東の坂路野郎・高岡功)