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1億8000万円の高馬、リアルスティールの全弟プロディガルサン

  • 2015年05月20日(水) 12時00分
アポロノホウリン(牡 美浦・堀井雅広 父キンシャサノキセキ、母アポロジャスミン)
 半兄アポロノシンザン(父サクラバクシンオー)は京王杯2歳S(GII)5着、ファルコンS(GIII)7着など短距離重賞で健闘している。母の父Saint LiamはSaint Balladoを経てHaloにさかのぼる系統で、2005年にブリーダーズCクラシック(米G1)などG1を4勝して米年度代表馬に選出された。種牡馬としてはわずか1世代を残しただけで急逝してしまったが、わずかな産駒から米年度代表馬Havre de Graceを出し、その死が惜しまれている。本馬の父キンシャサノキセキは高松宮記念(GI)を2連覇したスプリンター。種牡馬成績も上々で、初年度産駒はJRAで28頭勝ち上がっており、代表産駒のサフィロスは京王杯2歳S(GII)で2着となった。意外なことに芝連対率14.8%、ダート連対率24.6%とパワー型の傾向が出ている。本馬は仕上がり早の芝・ダート兼用タイプだと思われるが、ダート向きに出る可能性も考えておきたい。

ダイワウィズミー(牝 栗東・松田国英 父キングカメハメハ、母ダイワスカーレット)
 母ダイワスカーレットは有馬記念(GI)、桜花賞(GI)、秋華賞(GI)、エリザベス女王杯(GI)を制した女傑。その4分の3兄はダイワメジャー(04年皐月賞-GI、06年天皇賞・秋-GI、06・07年マイルCS-GI、07年安田記念-GI)で、近親にダイワファルコン(12、13年福島記念-GIII)がいる名門ファミリー。本馬の全姉ダイワレジェンドは現在1600万条件の上位におり、重賞に出走するのも時間の問題だろう。3月に富里特別(1000万下・芝1800m)を5馬身差で圧勝した際は、2レース後に同コースで行われた中山記念(GII)よりも勝ち時計が0秒9速かった。切れる脚はないものの、持続力を活かす競馬をすれば強い。晩成血統ではないのでPOG期間中の活躍も期待できる。

プロディガルサン(牡 美浦・国枝栄 父ディープインパクト、母ラヴズオンリーミー)
 リアルスティール(15年共同通信杯-GIII、15年皐月賞-GI・2着)、ラングレー(14年毎日杯-GIII・4着)の全弟。2014年のセレクトセール1歳で1億8000万円(税抜)の高値で落札された。「ディープインパクト×Storm Cat」はキズナ、アユサン、ラキシス、エイシンヒカリなどを出しているニックス。2代母MonevassiaはKingmamboの全妹で、3代母Miesqueは80年代の世界最強マイラー。この良血は魅力的だ。母方の奥は底力あふれる血で構成され、とくにFlower Bowlが入るのがいい。こうした血は「ディープインパクト×Storm Cat」を活かすのに必要だ。この兄弟のデビュー時の馬体重はラングレーが480kg、リアルスティールが498kg。後者のほうが器は上。ドナブリーニやクロウキャニオン産駒にも見られる「同性の全きょうだいは大きく出たほうが大物」という法則に当てはまっている。本馬も500kg前後の馬格であることを期待したい。

ロードセレリティ(牡 栗東・橋田満 父キングカメハメハ、母ティアドロップス)
 半兄にマイネルラクリマ(父チーフベアハート/14年オールカマー-GIIなど重賞3勝)、全兄にナムラショウリ(2勝)がいる。2代母パイナップルスターは、北九州記念(G3・芝1800m)を勝ったダンディコマンドの全姉。「ニホンピロウイナー×ノーザンテースト」は90年代によく見られた成功パターンで、フラワーパーク(スプリンターズS、高松宮記念)がその代表格。ニホンピロウイナーもノーザンテーストもHyperionが配合構成の核となっており、そのパワフルな血の影響か、全兄ナムラショウリは芝よりもダートで良績を残した。ただ、「キングカメハメハ×サンデーサイレンス」という組み合わせなので、全兄弟であっても素軽い要素が多く伝われば芝でも十分活躍できる配合構成ではないかと思われる。ハマればマイネルラクリマ級の活躍も期待できる。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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