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来年定年、最後の挑戦へ橋口弘次郎師の激白/トレセン発秘話

  • 2015年05月27日(水) 18時00分


◆橋口弘次郎調教師「よくぞ最後までダービーに出走させることができたって感慨深い気持ちにさせられるんだろうな」

 今の時代、日本ダービーを一番の目標にしている調教師がどれだけいるのだろうか? 凱旋門賞、ドバイWC…。“世界”が身近になった今、ワールドワイドな夢を掲げるトレーナーも決して少なくない。

 美浦の小島茂之調教師も「以前はそこまで日本ダービーに強い思いを抱いてはいなかった」そうだが…。ある栗東の調教師の姿を目のあたりにして「気持ちが変わった」と振り返る。

 数年前のダービートライアル当日、東京競馬場の関係者用エレベーターで、その調教師とばったり遭遇。トライアルで管理馬が権利を取れなかったことに「今年の俺のダービーは終わった」と尋常ではない悔しさをにじませていたのだという。

「あれだけすごい実績を残してきた大トレーナーが、ここまで悔しがるのがダービーなのか…」

 それ以来、小島茂調教師も日本ダービーに強い思いを抱くようになったそうだ。

 その人物こそ橋口弘次郎調教師。これまで日本ダービーに管理馬を出走させること実に現役最多の20頭。誰よりもダービーに執念を見せてきた。

「毎年のように使ってきた中で、本当に勝負になると思ったのは3分の1くらいかな。残りの3分の2は、とりあえずダービーに出したくて、なんでもかんでも使った馬やね(笑い)」

 ご存じのように昨年、ワンアンドオンリーで悲願の日本ダービー制覇を達成。さらに来年2月いっぱいで定年を迎える今年は今までとは気持ちも違うようで、「とにかくダービーを楽しみたい。最後にまた使える馬がいることに幸せを感じているよ。最後の年まであの舞台に立ちたいと思っていたから」。

 これまでダービーの下見所で「よし、今年もダービーの舞台に立てた。来年もここに馬を連れてくるぞ」と気持ちを新たにしてきた橋口弘調教師。来年はもう、その舞台に立つことはないだけに、パドックの景色も違ってくるのではないか。

「よくぞ最後までダービーに出走させることができたって感慨深い気持ちにさせられるんだろうな。我ながらよくこれだけ多くの馬をダービーに出走させてきたと思う」

 若い調教師、そして我々報道陣にも“日本ダービーがいかにすごいレースであるか”を教え続けてくれた橋口弘調教師。ドゥラメンテ、リアルスティールほか、皐月賞上位組が順調な中、ダノンメジャーで臨む“ラストダービー”は正直、苦戦は否めないが…。「少しでも上位を狙う気持ちは捨ててないよ。何が起こるかわからないのが競馬だからな」と内心は希望を捨てずに、“ひと刺し”を狙っていたりする。

 やはり橋口弘調教師は最後のダービーまで橋口弘調教師であることに長年、番記者をしてきた坂路野郎としては妙にうれしさを感じてしまう。橋口弘師、最後のダービー。う〜ん、ダノンメジャーに印を回すことも考えないといけないかな。
 (栗東の坂路野郎・高岡功)

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