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皐月賞

  • 2004年04月19日(月) 13時04分
 逃げ宣言のマイネルマクロスが出負けしてメイショウボーラーが先導する形で、レース前後半は(59.7秒-59.1秒)=1分58秒6。

 前半がもっと速ければ、さらに好時計が出ただろうが、乱ペースは避けられ、結果としてバランスのとれた2000mになった。前走のスプリングSから、さらに中間急上昇のダイワメジャー、そして注目のコスモバルクのマッチレースの中身は濃い。レコードと0.1秒差の1分58秒6。不発の差し馬勢は、展開不向きを敗因とすることになるが、あと一歩の3〜4着ならともかく、凡走組は力負けを受け入れなければならない。長い歴史の中、展開うんぬんを敗因に求めた馬が、ダービーで巻き返した例はない。見ての通り、もう少し流れがきびしく1分58秒0前後で決着したとしても、後ろで溜めたグループが届く理由も道理もまったくない。能力通りの結果が導き出されたとすべきだろう。上位2頭、この内容ならダービー好走も約束された。

 ホッカイドウ競馬所属のコスモバルクは、また北海道に戻り、ダービーには5度目となる長距離遠征をすることになる。ビッグレッドファームに戻り、ホッカイドウ競馬所属を示すために、10日間は門別などホッカイドウ競馬に入厩しなければならないのは、JRAではまだ認められていない認定厩舎(外厩)制度を活用しているから仕方がない。今度もそうなる。

 しかし、問題はそのあとで、東京競馬場へ10日前か、せめて1週間前には入厩できる道を開いてやるべきだろう。これだけの逸材、所属うんぬんではなく、約束ごとを守っているのだから、競馬を主催(開催)する側は、能力をフルに発揮できるような道を開くことが、公正競馬を管理する主催者の、ひいては日本の競馬を発展させ、ファンにより中身の濃いレースを提供する責任を持たされた側の、果たすべき役割だろう。コスモバルクは、JRAで皐月賞を含めて[3-1-0-0]。今春のクラシックに不可欠の存在になっている。才能あふれる主役である。

 JRA側は、というより日本競馬の主催者として、コスモバルクのような立場に立つ馬に、可能な限り能力全開の道を開くことがその最大の役目だろう。多くのファンの、最も期待するところでもある。

 この半年間に変則的な長距離遠征5度目になるコスモバルクが、金曜日の朝にようやく東京競馬場入りできて、ダービーに出走というのでは、日本の競馬の将来になにも役に立たないことになりかねない。JRAは「どうぞ、せめて10日前ぐらいには東京競馬場入りして、万全の状態でダービーに出走していただきたい」。要望が起こる前に、主催者の器量、度量を示して欲しいものだ。いわれるほどJRAはお役人でもない。日本の競馬を発展させるホースメンで、ときには日本の競馬を愛する人々の代表でもある。新しい道を大きく開いてほしいものだ。大丈夫だろう。そうなる時、ダービーの楽しみは倍加する。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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