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第19回北海道スプリントカップ

  • 2015年06月17日(水) 18時00分
第19回北海道スプリントカップ

第19回北海道スプリントカップを制したシゲルカガ


この日は良い天候に恵まれ、場内はなかなかの賑わいであった

 先週の11日(木)、門別競馬場で今年初となる交流重賞の「北海道スプリントカップ」が行なわれた。4月末に開幕した門別ナイターは、6月中旬のこの時期になると夜間もそれほど気温が下がることなく過ごしやすい気候になる。この日は、この地方特有の濃霧も発生せず、良い天候に恵まれた。その9日前には「北海優駿」が行なわれたのだったが、その日と比べると明らかに人が多く、場内はなかなかの賑わいである。門別は周知のごとくファンのいるエリアが狭いので、ざっと見渡しただけでおおよその入場人員が分かるほどだ。北海優駿の日は689人で、交流重賞のこの日は1111人が入場したという。この差は422人にすぎないが、見た目にはかなりの違いがある。パドックを囲むファンの人垣にもその差が出る。2日の北海優駿の時には余裕で柵に近づけたのだったが、この日はズラリと二重三重に人垣ができていて、ファンが熱い視線を送る。

 また、中央騎手を目当ての「出待ち」をする人の姿を目にするのもこうした交流重賞の日ならではの光景だ。今回、中央からは戸崎圭太、川田将雅、丸田恭介、勝浦正樹の4騎手が来場していたが、メインレースの前には、暗い中、彼ら4人を待つ人々が手に色紙などを持って待機していた。

出待ちするファン

出待ちするファンたち



 数えて19回目を迎える北海道スプリントカップには、14頭が出走。中央所属馬4頭、10頭が地方所属馬で、そのうち岩手、笠松、高知からそれぞれ1頭ずつ遠征してきている。地元道営所属馬は7頭である。

 人気は目下重賞を3連勝している中央馬ダノンレジェンドに集まり、以下シゲルカガ、アドマイヤサガスと続いた。道営馬の中では昨年このレースでも健闘したアウヤンテプイが4番人気に支持された。

パドックを周回するシゲルカガ

パドックを周回するシゲルカガ



 レースは、ポンと飛び出したシゲルカガが先手を握ると、そのまましぶとく粘り、4角を回って直線に入ってからもリードを保って1着でゴールした。2着は4分の3馬身までシゲルカガを追い詰めたものの届かずに終わったボアゾンブラック、3着はさらに4分の3馬身差で1番人気のダノンレジェンドが入った。

引き揚げてくる

北海道スプリントカップを制して引き揚げてくるシゲルカガ



 勝ったシゲルカガは父パイロ、母アレグレッツァ、母の父シャンハイという血統の牡4歳鹿毛馬。栗東・谷潔厩舎所属で、馬主はシゲルの冠名で知られる森中蕃氏。勝浦正樹騎手が騎乗し、今回初の重賞制覇であった。通算成績は18戦6勝、獲得賞金は1億2898万円。

北海道スプリントC口取り風景

北海道スプリントカップの口取り風景



 生産は浦河の馬道繁樹牧場である。同じ町内のよく知った名前で個人的には感慨深いものがあった。というのも、余談ながら、馬道繁樹氏は、ちょうど2年前の6月に56歳で亡くなっていたからである。その後、牧場は生産を止めており、現在はもうない。

 日高では高齢化と後継者不足により、年々生産牧場戸数が減少しつつあるが、残された生産馬がこうして出世し、重賞勝ちを収めるというケースも当然出てくる。本人が存命ならばどれほど喜んだだろうと思う。

 さて、この日は昨年を約5400万円上回る4億1431万円を売り上げ、好調であった。この日で北海優駿に始まり北海道スプリントカップで終わる第4回門別競馬の開催が終了したことになるが、昨年9億6927万円だった売り上げが、今年は11億3953万円と約1億7000万円の増加で、順調と言える。

サインに応じる勝浦騎手

サインに応じる勝浦正樹騎手



 ただ気になるのは、今週からいよいよ始まっている船橋ナイター競馬で、初日の一昨日は1万人超のファンが集まったという。南関のナイター開催と重なる日は門別の売り上げが伸び悩む傾向のあることは以前から指摘されていた通り。南関4場のうち、今や昼間開催は浦和だけとなり、他の3場はナイター開催である。加えて、今月は浦和開催がないため、門別は必ずどこかのナイターと競合することになる。

北海道スプリント当日

北海道スプリントカップ当日の場内風景



 全国的にもきわめて場外での売り上げ比率が高い門別は、立地条件などからも本場に簡単に人を呼び込めない環境にあり、今後はいかに「自前の売り上げ」を伸ばせるか、であろう。因みに北海道スプリントカップ単体の売り上げは2億1021万円だが、うちネットを含めた場外で約2億780万円を占めている。引き算すると本場での売り上げは約240万円程度にすぎない。率にして98.8%に達する。おそらく全国的にも場外依存度はダントツの高さのはずで、この辺が最大の課題である。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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