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アズマシャトル、トゥザレジェンドなど今週出走の栗東追い切り馬調教分析

  • 2015年07月15日(水) 18時00分


今週は特別レースに出走する栗東で追い切った馬の調教分析をしていきます

 今週は函館競馬場で行われる重賞、函館記念。いつもは重賞レースの最終追い切りを取り上げる当コラムですが、私は15日も栗東で調教を見ていました。函館記念組はみな函館競馬場で追い切りを行っていますから、さすがに数字だけでその評価を行うのは申し訳ないので、今週は特別レースに出走する栗東で追い切った馬のコラムとさせていただきます。

 15日は日差しの強い中での追い切りでしたが、16日が雨の予報もあるということで、かなり多くの馬が追い切りを消化。夏場にしては珍しく、8時45分ごろまでトラック馬場の追い切り時計をとっていましたが、ほんとの最終は坂路馬場のテイエムトラネコ。その動きはラスト1F12.0秒。「使い詰めで未勝利を勝ち上がりましたが、まだまだ状態は上向いていますね」と担当者。18日の中京最終レースに出走予定ですが、昇級初戦もお構いなしの上昇度でしょう。

【インディアT/エンキンドル】

 ハナを切った前走は強い勝ちっぷり。今回の中京ダート1900mは6走前にハナを切って逃げ切っている条件でもあり、舞台設定としては申し分なし。55キロのハンデも妥当なところでしょう。問題があるとすれば、レース間隔。前走は連闘で+2キロという馬体重でしたから、レースがあいたことがひとつのポイント。

 中間の追い切り本数は決して少ないとは思いませんが、7月8日のCWでの動きがひと息。まだ体が重いのかなという感じでしたが、それは最終追い切りでも変わりありませんでした。中3週だった6走前は最終追い切りの併せ馬でカゼノコに先着する絶好の動きを見せていただけに、人気するなら今回は静観するのが妥当なところでしょう。

エンキンドル(7月15日撮影)

エンキンドル(ゼッケン398・7月15日撮影)



【マレーシアC/アズマシャトル】

 オープン特別の白富士Sを勝ち、前走が鳴尾記念で3着。4着エアソミュールは函館記念でも人気を背負うような馬だけに、そんな実績馬が1600万下に出走するのですから、単勝オッズが2倍を切ることは濃厚。正直、負けられない一戦といったところでしょう。

 15日の最終追い切りはCWで同じレースに出走するプリンセスジャックとの併せ馬。少し追走して、4コーナーは外を回っていましたが、それでもあっさりと先着と思いきや、なかなか相手を交わせません。ゴールを過ぎるとすぐに減速したところを見ると、余力もほとんどなかったようですから、追い切りだけ見ていると、断然プリンセスジャックを狙いたくなる感じです。

アズマシャトル(7月15日撮影)

アズマシャトル(ゼッケン63・7月15日撮影)



【シンガポールターフクラブ賞/トーセンデューク】

 降級戦の前走はあっさりと勝って、再びの1000万下。この条件でもすでに3着しているように、力上位は明らか。気になることがあるとすれば、5走前にこの舞台でスタート直後に落馬しており、その後遺症がないかどうかという点でしょう。

 最終追い切りはCWで単走か併せ馬か判断が微妙なところ。先に馬場に入ったワイドヴィンチェレを向正面で追い抜いて、相手がまた抜き返して、というような感じ。ただ、この馬自身のラップの踏み方としては、ゴールに向かって速くなっていっているので問題ありません。時計も遅めですが、3走前の最終追い切りと比較しても大差はなく、ここも通過点になる可能性が高いでしょう。

【ジュライS/トゥザレジェンド】

 母トゥザヴィクトリーの良血が3連勝でようやくの素質開花といったところでしょう。前走後は一旦放牧に出されていますが、予定していた交流競走に出走できなかったこともあり、その分、追い切り本数を積み重ねています。前走時の最終追い切り場所は坂路でしたが、今回はCWでした。

 距離は半マイル。同じレースに出走予定のクラージュドールを追走する内容でしたが、仕掛けていって、なんとか追いついたという感じ。少し反応が鈍いようにも見えましたが、これは半マイル追いに慣れていないからでしょう。もちろん、馬なりで追いついて引き離すくらいが分かりやすい内容ですが、時計的な面を見てもこれで十分です。

トゥザレジェンド(7月14日撮影)

トゥザレジェンド(7月14日撮影)



【バーデンバーデンC/ニザエモン】

 シルクロードS、鞍馬S、韋駄天Sと◎を打ち続けている馬。着順こそ悪いままですが、着差が詰まっているように、暑くなってきて、徐々に見せ場のあるレースができるようになりました。

 前走後はすぐに放牧に出されて、このレースを目標に。1週前追い切りはラスト1F12.0秒と素晴らしい伸びを見せており、最終追い切りに関しても、ラスト1F12.2秒。これは前走時には見られなかった動きですし、状態だけなら「4度目の正直」を狙いたいところ。ただし、問題はハナを切ることができるかどうか。馬券になるかならないかはこれに尽きると思います。

ニザエモン(7月14日撮影)

ニザエモン(7月14日撮影)



◆次走要注意

・7/11 中京 2歳未勝利【ジェントルハート】(4人/2着)

 デビュー戦の1600mでは好スタートを決めたにも関わらず、距離を短縮した今回は出遅れ。これが大きな後手となったことは言うまでもありません。
 もちろん、後方からレースをしたからメンバー最速上がりを使えたという事実もありますが、あの競馬ができれば、マイルまで守備範囲だとは思っています。ちなみに次は少し間隔をあけて使うことになるでしょう。

[メモ登録用コメント] [芝]最終追い切りが坂路でラスト1F最速ラップなら勝ち負け

・7/11 中京 2歳新馬【ホイールバーニング】(4人/7着)

 もう少し着順が上だと思いましたが、人気ほど走ることができなかった現状。これは力のいる中京という舞台設定が影響したと思われます。
 牧田和弥厩舎はトラックと坂路を併用する厩舎ですが、この馬に関してはトラックオンリーの仕上げ。少しパワー不足だったと思うので、今後、併用系統の調教タイプで仕上げてくれば、あっさりと勝ってしまうような気がします。

[メモ登録用コメント] [芝]併用系統なら勝ち負け

◆今週の追い切り特報

・【カリビアンブルー】
 前走が京都ダート1800mで惨敗。今回もダート戦を予定しているので、人気に推されることはないでしょう。しかし、当時とは追い切りの中身が違っています。
 特に最終追い切りのCWでの動きは絶品。追われてからしっかりと反応しており、前走の着順だけで見限ってしまっては、大きな魚を逃すことになりそうです。

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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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