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レッドアリオン、カレンブラックヒルなど中京記念調教分析

  • 2015年07月22日(水) 18時00分


1か月以上前から、私の中京記念の◎は「最終追い切り栗東坂路で4F……」と決まっていました

 私の仕事は週末のレース予想はもちろん、当コラムのように、週中の追い切りをコラムにさせてもらったり、雑誌のように1か月前から大きなレースの予想記事を書かせていただいたりしています。その中にニッカンスポーツの「競馬特集号」というものがありまして、この時期は『夏競馬特集号』が発売されます。私の担当は調教適性から予想した競馬場と重賞レース。競馬場は札幌芝1500m、小倉芝1200mでして、重賞は中京記念と関屋記念を取り上げました。

 そう、1か月以上前から、私の中京記念の◎は「最終追い切り栗東坂路で4F54秒以下、2F25秒以下に該当した馬」と決まっていました。アノ馬がきっとこれに該当するだろうと思い、今週から始まる競馬予想TV! のサマーシリーズの出演も中京記念を志願したのです。きっと◎は志願した理由の馬にはならないと思いますが、それも客観的な調教データを重視してのこと。来週の当コラム冒頭で、どんなことを書いているのか、自分自身でも楽しみです。

【中京記念/ダローネガ】

 前走を勝った後、中京記念を目標に定めて、放牧から帰厩、そして追い切りと順調に積み重ねてきました。休み明けの春興Sを叩いて、中2週の湘南Sを勝っているように、ひと叩きした方が結果を残せるタイプだと思いますが、夏場の休み明けは小倉日経オープンで結果が出ているので、それほど神経質になることもないと思います。

 最終追い切りは画像の栗Bコースをキャンターした後、坂路へ移動して単走追い切り。前半からある程度出していって、最後もしっかり追う形。時計4F53.7〜3F39.3〜2F25.3〜1F12.8秒は、私が想定していた時計とは違っていました。2回目のハロー明けで、馬場が踏み荒らされていたことを考えると、決して悪い時計ではありませんが、あまり高く評価できないというのが個人的な判断です。

ダローネガ(7月22日撮影)

ダローネガ(7月22日撮影)



【中京記念/レッドアリオン】

 別コラムにも記しましたが、本馬の場合、併せ馬の内容以上に、最終追い切り坂路の4F時計が重要だというのは、近走成績が示しています。それだけに、併せ馬を行って遅れることは想定していましたが、4F時計がどのくらいになるのか、これにはかなり注目していました。

 22日の最終追い切りはミッキーラブソングとの併せ馬。少し後ろからいってしまうと、遅れるということもあるのでしょうか、スタートからきっちり馬体を併せての追い切り。ラスト1F標識を手前にして、2頭が追い出し始めましたが、しっかり伸びたレッドアリオン。最後は1馬身ほど先着してのゴール。4F52.1〜3F38.3〜2F25.0〜1F12.4秒という数字は洛陽S、マイラーズC1着時の最終追い切りと同じ4F52秒台。これは評価しなくてはいけません。

レッドアリオン(7月21日撮影)

レッドアリオン(7月21日撮影)



【中京記念/トーセンレーヴ】

 6月20日に栗東へ帰厩し、その翌日から坂路で時計を出しているだけのことあって、この中間の追い切り本数は10本を超えました。その調教欄を一言で表現するなら「丁寧な仕上げ」。坂路とCWを併用し、きっちり併せ馬も行っているという意味で、休み明けとしては文句ない中間の内容です。

 そして、最終追い切り。朝一番のCWで半マイルからの追い切りというのは、池江厩舎のトレンド。先週までの追い切りがきっちりできているので、特に気になる点はありません。むしろゴール前は活気溢れる走りで、この調整方法がズバッと嵌まりそうな気もするくらいです。

トーセンレーヴ(7月22日撮影)

トーセンレーヴ(7月22日撮影)



【中京記念/カレンブラックヒル】

 最終追い切り坂路での4F時計自己ベストを更新(4F50.8秒)した2014年ダービー卿CTが1着。それよりも速い4F時計をマーク(4F50.3秒)した小倉大賞典も1着ということで、とにかく4F時計が51秒台を切ってくるようであれば、◎を打ってもいいくらいの最終追い切りでの判別がつきやすいタイプだと思います。

 最終追い切りは坂路4F51.7秒。直近1着時調教より時計が遅く、これを評価するわけにはいきません。2F目以降に12秒台のラップを継続している点は過去の4F50秒台時と同じですが、最初の1Fが14.4秒と遅すぎます。ひょっとしたら、前走のレース内容が追い切りの1F目にも影響したのかも知れません。

カレンブラックヒル(7月21日撮影)

カレンブラックヒル(7月21日撮影)



【中京2歳S/シュウジ】

 デビュー前から坂路4F51.4秒という時計で動いており、半兄ツルマルレオンよりも早い時期からの素質開花を予感させていた本馬。思った通りのレースぶりに「強かったね」と橋口弘次郎調教師も手放しで喜んでいました。中2週のローテーションになるので、7月19日に坂路で時計を出し、22日に最終追い切りという厩舎のパターンでの調整でした。

 最終追い切りはレッドオーラムを追走する内容でしたが、最後まで余裕のある手応え。きっちり先着したあたりはさすがは攻め駆けする馬。追い切り時計の出方を見ると、やっぱり短い距離に適性がありそうですが、走り自体は折り合っているだけに、マイルまでならこなせそうな気もしますが、さすがにこればかりはやってみないとわかりません。

シュウジ(7月14日撮影)

シュウジ(7月14日撮影)



◆次走要注意

・7/18 中京 マレーシアC【リアファル】(5人/1着)

 初めて芝を走る馬が鳴尾記念3着のアズマシャトルを負かすという快挙。この勝因をハナに行ったから、中京の重い芝だからと判断することは簡単ですが、本当に芝の適性があったと考えると、次走も要注意。
 個人的には10キロ絞れていた馬体も好走要因、最終追い切りで坂路4F51.8秒と速い時計をマークしたことも好走要因だと考えているので、馬体重に変動なく、最終追い切りが速い時計なら。

[メモ登録用コメント] [芝]最終追い切りが坂路4F52秒以下なら勝ち負け

・7/19 中京 3歳未勝利【ツジスーパーサクラ】(8人/7着)

 先週の最終追い切りがCWで超抜に速い時計。今回、結果が出なかったことに関しては、パワーの必要な重い馬場だったと考えることはできると思います。
 権利がなければ出走できないかも知れませんが、小倉芝1800mか2000mなら一変できるはず。そのくらいのスピードは持っています。

[メモ登録用コメント] [小倉芝中距離]最終追い切りCWで馬なりなら勝ち負け

◆今週の追い切り特報

・【ミカエルシチー】
 坂路4F50.8秒。これは22日の坂路の一番時計タイの数字であり、本馬にとっても自己ベストを更新した数字。母テンシノキセキは暑い季節に良績を残した馬だけに、この時季が最もパフォーマンスを上げることができるのかも知れません。

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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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