デビュー当時のキングカメハメハとはレースぶりが違ってきただけでなく、一段とストライドが大きく柔らかくなり、動きに余裕が出てきた。インにコスモサンビーム、中にシーキングザダイヤ、そして中団の外に楽々とキングカメハメハ。広い東京コースで、なおかつ馬群につつまれない外を回り、最後は独走の1分32秒5。推定の後半は45.0-34.0秒。最後は馬なりのまま11.4秒。圧倒的なスケールだった。01年のクロフネの1分33秒0が、上がり34.3-11.1〜2秒(推定)。少なくとも互角のスケールがある。
もう、鍵は松田国英=金子オーナーのクロフネと同じコンビでのダービー制覇が可能か、注目はこの1点になる。毎日杯、NHKマイルC、そしてダービーというローテーションまで同じだ。知られるように、クロフネはダービーで5着に沈んでいる。不可解な失速で、クロフネの凡走はあのときだけだった。
NHKマイルCで激走したのが敗因のひとつだと考えられている。というのも、NHKマイルCが創設されて過去8回、1〜2着に連対した16頭、その後のローテーションも出走レースもさまざまだが、次走で勝った馬は1頭もいない。特に1分32秒6のタイキフォーチュン(今年、英ダービー目下の1番人気馬は、当時小差2着のツクバシンフォニーの半弟)、1分33秒0のクロフネ、1分33秒1のテレグノシスなど、快時計で乗り切った馬ほど、のちに凡走している。
1分32秒5は、同日の7R(古馬500万)が1分33秒2だったことから、驚くほどの時計ではない。かつ、キングカメハメハには余力があったのは確かだが、中2週でダービー。中間の動向が大きな注目を集める。
期待のコスモサンビーム、皐月賞3着のメイショウボーラーは力を出し切っている。この2頭の善戦好走によって、皐月賞1〜2着馬の評価は改めて上がることになる。脚いろは異なるが、コスモサンビームとダイワメジャーの差は0.7秒。今回キングカメハメハとの差は0.8秒差だった。
シーキングザダイヤは、ここまで強い相手と戦っていない不利があったのだろう。ニュージーランドTは1分33秒5の接戦。同週のハートランドカフェが1分33秒5の楽勝。中山の4月は時計が速すぎて、走破時計とレースレベルのランク付けが難しかった。
NHKマイルCの鉄則。3歳になって1600m以上で勝っていること。なおかつ、1600m以上の重賞かOP特別で連対していること。
成長力と、総合力を示す「2点」をクリアしている馬でなければ、このG1は勝てない。その鉄則は今年も守られた。来年も忘れないでおきたい。