多くのダービー馬を輩出 エリカ賞はナゼ消えたのか/トレセン発秘話
◆ホープフルSとの兼ね合い
2日に発表された今年の秋季競馬番組を見て、「まさか、あのレースが廃止されてしまったのか?」と驚いた人が少なくなかったようだ。
毎年暮れの阪神開催で施行されている2歳500万下の特別競走「エリカ賞」の名がなくなっている。エリカ賞といえば、過去の勝ち馬から多くのダービー馬(タヤスツヨシ、アドマイヤベガ、キングカメハメハ、エイシンフラッシュ)を出しており、ファンの間で「出世レース」として親しまれている名物競走。なぜ消えてしまったのか?
事の真相をJRAに確認すると、「廃止」というわけではないらしい。昨年から同週に中山でGIIホープフルSが行われており、皐月賞と同じ舞台で行われるGII競走に、よりメンバーを集めたいという意図があって、今年はエリカ賞を“休止”したのだという。
エリカ賞は関係者にも出世レースとして知れ渡っており、その名前でホープフルSではなく、エリカ賞に有力馬が流れてしまうのを避けるための番組変更というわけだ(昨年のエリカ賞と同じ日程、同じ距離で、平場の500万下は組まれている)。そして今年の出走馬の状況次第で、またエリカ賞を再開させるかどうかを決めるのだとか。
重賞ならいざ知らず、500万下特別でこれだけファンに親しまれているレースも少なく、実際、番組発表以降、エリカ賞がないことについてJRAに多くの問い合わせがあったという。そんな名物競走を簡単に休止してしまうのはどうかと思うし、なんとか来年以降は他重賞とうまく共存できる形で再開させてほしいものである。
(栗東の坂路野郎・高岡功)