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女傑から最強馬へ

  • 2004年05月19日(水) 11時04分
 エアグルーヴ、そしてミスターシービーと名馬メモリアルレースは続きます。それぞれオークス、ダービーを勝利したときのインパクト、さらには現役時代に残したものの大きさから、シーズン最高潮に達するこの時期に2頭が選ばれたのは頷けます。

 日本中央競馬会が創立50周年のイベントのひとつとして、毎週名馬のメモリアルレースをやると知ったとき、真っ先に思ったのが、オークス、ダービー・デイに選ばれる馬のことでした。エアグルーヴ、ミスターシービーとも多くのファンの記憶の中に生きる名馬であり、納得できるところです。あとは、この2頭がどう凄かったかでしょう。

 エアグルーヴのオークス優勝には、母ダイナカールとの母娘制覇という話題がありました。でもそれ以上に、エアグルーヴがその後、牡馬の強豪と互角以上に戦ったことの方が衝撃的でした。秋の天皇賞を勝ったとき、この馬を女馬だからなどと考えたことはありません。だから、女傑ではなく最強馬なんです。その意味から次はジャパンCに向かいますと、インタビューのときに答えた伊藤雄二調教師の言葉が思い出されます。

 牝馬で強ければ女傑でいいのではないかと思ったのですが、エアグルーヴはそういうレベルで語ってもらいたくないという強い自負心がのぞいていました。誇りを持ってエアグルーヴを見ている、そんな感想でした。

 エアグルーヴの称えられるところは、母の力を受け継ぎ、それ以上の活躍をしたこともさることながら、繁殖に上がってから、アドマイヤグルーヴというG1馬を出したことが特筆されます。これに続くイントゥザグルーヴにも期待が寄せられています。

 20世紀から21世紀へと、世紀をまたいで産駒の活躍が見られ、この先、この牝系のめざすものは世界のターフです。牝系が進化することで、どれだけ競馬のレベルが上がっていくのか、是非立証してほしいものです。

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ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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