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ベルカント、ミッキーラブソングなど北九州記念調教分析

  • 2015年08月19日(水) 18時00分


ビッグアーサーの勝利を見たい気もしますし、馬券的には違う馬を狙ってみたい気も

 今週は札幌記念と北九州記念が行われますが、レース格も含めて、札幌記念の方が注目度は高いかも知れません。しかしながら、北九州記念も「アノ馬」だけは別格。それがトレセンニュースで速報したビッグアーサーですが、なにせ、無傷の5連勝中。いろんな関係者に「やっぱり、アノ馬強いか?」と聞かれるんですが、そのたびに「6連勝でスプリンターズSに出走すれば、きっと盛り上がるG1になると思いますよ」と返答。

 質問の答えになっていないにも関わらず、みんなが「そやな」と納得してくれるのは、自分の管理馬でなくとも『スターの誕生』を願っているからこそでしょう。そういった意味では、ビッグアーサーの勝利を見たい気もしますし、馬券的には違う馬を狙ってみたい気も。それにしても、ビッグアーサーの追い切り直後、藤岡健一調教師を取り囲む新聞記者の数はG1並み。あの様子を見ると、やっぱり「負けない」ってスゴイんですね。

 なお、注目度が高いビッグアーサーの最終追い切りはこちらのトレセンニュースをお読みください。

【北九州記念/ベルカント】

 昨年出走したレースですが、CBC賞5着からの参戦だった昨年とは違い、今年はアイビスSDを勝っての参戦。直線競馬の結果が、コーナーのある1200mにどのような効果、影響があるのか微妙なところではありますが、勝っているという勢いは評価すべきです。

 昨年の最終追い切りでは坂路4F51.7秒と全体時計は速かったものの、ラスト1Fが12.5秒で減速していました。それに対して、今年はラスト1Fが最速になるラップが踏めており、じわっとスピードに乗せることができています。坂路4F52.8秒ですが、ゴールに向かって、徐々に加速して、最後は1F11.6秒。これは19日のラスト1F時計の最速をマークしましたし、右ラチを頼りながら走ったことを考慮しても、やはり評価すべき数字でしょう。

ベルカント(8月18日撮影)

ベルカント(8月18日撮影)



【北九州記念/ミッキーラブソング】

 オープン入りしてからのマイル戦で伸び悩んでいたこともあり、前走が初の1200mへ距離短縮。橋口弘次郎調教師は「1400mで勝っているのだから、1200mに対応できないわけがない」とレース前からコメントしていましたが、その通りの結果に。ただ、重賞のここでは「自分の力は発揮できると思うけど、あとは相手関係」と冷静に分析します。

 中2週は2勝しているローテーションなので、その点は心配ないでしょう。ただ、その2勝はいずれもレース前週の日曜日にある程度時計を出しており、今回のように坂路4F60.2秒と遅くはありませんでした。その影響というわけではないのでしょうが、最終追い切りはヴァルディスーザと併せて、やや遅れ。相手が未勝利馬ということを思えば、やっぱり物足りない動きに思えます。

ミッキーラブソング(8月18日撮影)

ミッキーラブソング(8月18日撮影)



【北九州記念/ベルルミエール】

 CBC賞4着の後、一旦放牧に出されて、7月31日にグリーンウッドから帰厩。そういった調整過程もあり、この中間も追い切り本数は多くありません。ただ、追い切り本数自体はローテーションが同じ前走と変わっていないので、攻めが弱化したという認識は必要ないでしょう。

 追い切りはCWで半マイルというのが主流になってきており、今回も同じような感じ。1週前、最終追い切りともに5Fから時計を出していますが、数字は遅く、むしろ半マイルの時計にすると前走より遅くなっています。この馬自身の追い切りパターンとしては前走とは変わっていないため、ある程度力を出せるのでしょうが、阪神牝馬S2着時は6Fから時計を出していただけに、それと比較すれば物足りない内容であることは間違いありません。

ベルルミエール(8月18日撮影)

ベルルミエール(8月18日撮影)



【北九州記念/マヤノリュウジン】

 昨夏はバーデンバーデンC、UHB賞と連勝して、セントウルS5着、スプリンターズSは勝ち馬から0.3秒差の8着と健闘。しかし、その後は長期休養を余儀なくされ、今回は約10ヶ月ぶりのレースとなります。その分、入念に乗り込んでおり、坂路での追い切り本数に関しては文句ありません。

 最終追い切りは坂路でこの馬らしい、4F51.7秒をマーク。やっぱり乗り込んでいるだけのことはあると思いましたが、ラスト2Fのラップが11.8秒から12.1秒に減速。例えば、バーデンバーデンCの時は坂路4F51.5秒でしたが、ラスト2Fが12.3秒から12.2秒に加速していました。このラップの踏み方の違いが、ローテーションの違いに出ているような気がするだけに、能力の衰えはないと思いますが、やっぱり今回は休み明けの割引があります。

マヤノリュウジン(8月18日撮影)

マヤノリュウジン(8月18日撮影)



【北九州記念/メイショウイザヨイ】

 前走は12着ですが、昨年の同レース2着。しかもハナ差ですから、当時の能力が発揮できれば、舞台適性があることはハッキリしています。ちなみに前走は小野厩舎の解散による転厩初戦だったこと、約8ヶ月ぶりのレースだったことを考慮すれば、先行したレース内容は決して悪くなかったと思います。

 中間に速い4F時計を出せなかった前走に比べて、今回は1週前の8月13日に坂路4F51.0秒。これでスイッチが入ったのか、最終追い切りはラスト1Fが最も速くなるラップを踏んで、4F54.5秒。これは昨年2着時と似たようなラップの踏み方なので、評価すべきでしょうし、ハナを切ることができれば、より好走確率は高まるかも知れません。

◆次走要注意

・8/15 小倉 2歳新馬【カジノスマイル】(1人/1着)

 ダート1000mだけに過大評価できないのは承知の上ですが、それにしてもセンスよくスタートして、最後の直線は後ろが迫るとギアをチェンジしての伸び。
 目一杯に走った感じがないだけに、まだまだ伸びしろがあると思いますし、この一戦でへたっていなければ。

[メモ登録用コメント] [芝1200m]最終追い切りが坂路でラスト1F11秒台なら勝ち負け

・8/16 小倉 2歳未勝利【アンデンモント】(6人/5着)

 新馬6着から10キロ絞れて、順当に変わり身を見せると思った今回。レースも流れに乗っているように見えましたが、直線では伸び切れませんでした。
 ただ脚がなかったように思えないだけに、あまり近隣に馬がいるよりも大外ブン回しの方が結果が出るかも知れません。小倉最終週(9月6日)あたりで外枠を引いて、それができれば。

[メモ登録用コメント] [芝1200m]最終追い切りが坂路でラスト1F最速ラップなら勝ち負け

◆今週の追い切り特報

・3歳未勝利【ティーエスナイン】
 距離を1200mにしたことが前走勝ち馬から0.8秒差という好走に繋がっていると思いますが、それ以外にも馬が変わってくる要素がたくさんあった前走。今回もそれを継続できている点は評価すべきでしょう。
 その効果で1週前追い切りは坂路4F51.8秒、最終追い切りがラスト1Fが最も速くなるラップ。ここで馬券に絡めないようでは、くらいの気持ちで応援します。

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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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