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ウオッカ以来となるタニノギムレット産駒の大物か/吉田竜作マル秘週報

  • 2015年09月16日(水) 18時00分


【次回公開日変更のお知らせ】
 次回公開の「東スポ×netkeibaコラボコーナー(水)」は、祝日による東京スポーツ紙面発行の都合により9月30日18時の公開となります。予めご了承くださいますようよろしくお願い申し上げます

音無調教師「ここで道草は食いたくない。ここを勝てば(年末のGIをパスして)来年でもいいくらい」

 ひと昔前は「サンデーサイレンスVSブライアンズタイム」の“種牡馬代理戦争”的な様相を呈していた日本の競馬界だが、今はその戦いにもピリオドが打たれたと言っていい。ディープインパクト、ステイゴールドから伸びるサイアーラインは明るい未来へと伸び、その勢いに陰りがない。

 一方でブライアンズタイムの系列は不運にも見舞われた。最高傑作ナリタブライアンが早世したことで、この世界での流れを完全に逸してしまった。今はタニノギムレット、マヤノトップガン、タイムパラドックスなどがかろうじて踏ん張っているという現状だ。

 ただ、だからといってホースマンからブライアンズタイム系の種牡馬が見限られたわけではない。「こういう産駒がいれば」という要望はトレセンの内外にも少なからずあった。例えば音無調教師。タニノギムレット〜ウオッカとつながる流れを見て「サイズのある産駒がいれば」と探し続けていたそうだ。

 しかし、このタニノギムレット産駒はテンションが高くて繊細な性格の馬が多く、なかなか大きく育つ馬が現れなかった。実際に産駒の成績を見ても、重賞級の馬たちは京都新聞杯勝ちハギノハイブリッド(当時448キロ)を除けば、ほぼ500キロ近い馬体重。音無調教師の見立てはデータからも“正解”だったのだ。「自分でもずっと探していた」と同師。それでもなかなか要望する産駒には当たらない。

 しかし、この2歳世代でようやく巡り合えた。それが、夏の中京開催で新馬勝ちを果たし、土曜(19日)の2歳オープン・野路菊ステークス(阪神芝外1800メートル)へ挑むブラックスピネル(牡)だ。

 待ち望んだ“原石”だけに、入厩前から期待は大きかった。「タニノギムレットといえばウオッカ。あれにそっくりなんだ」とほれ込んでいたトレーナー。ただ、いざ入厩すると、巨体のせいか締まりがない。「俺はウオッカの毛色に似てると言っただけで、馬が似ているとは言っていない」とその言質は若干揺らいだが、同馬は自らの走りでトレーナーの信頼を勝ち取った。

 新馬戦勝ち当時もまだまだ余裕がある体つき。それでも2着ゼンノタヂカラオをゴール前の叩き合いでしぶとく競り落とした。「あれだけ太くてよく勝ったものだ。それも最後は悪いところを通って競り勝つんだから、勝負根性がある」と思わず同師もうなった。

 夏場を休養に充て、このレースを目標に帰厩。激しい実戦と適度なリフレッシュが原石を少し磨き上げた。1週前追い切り(9日)は大雨の影響で栗東坂路は最悪のコンディション。それも開場から約3時間たってから馬場入りした。フィジカルだけでなく、メンタルの弱い一般的な2歳馬なら音を上げてもおかしくない状況だ。

 しかし、ブラックスピネルはパワフルなフットワークで重いチップを蹴散らしていく。そして、マークしたのが4ハロン52.8-12.8秒の好タイム。これには音無調教師も「これだけ悪い馬場で古馬(1000万下)に先着するのだから大したもの。新馬の時よりも動けているし、これでほぼ仕上がった。数字こそ変わりないが、馬体は締まった感じがする。これなら480キロ台(デビュー時496キロ)で出せるのでは」と自信を深めた。

 トーンはさらに上がる。

「ここで道草は食いたくない。ここを勝てば(年末のGIをパスして)来年でもいいくらい」とクラシックさえもしっかりと見据えている。ウオッカの“そっくりさん”から黒く輝く宝石へ――この一戦が来年の主役候補に躍り出るステップボードとなるかもしれない。

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