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安田記念

  • 2004年06月07日(月) 13時00分
 雨で微妙に馬場状態が変化。人気も微妙に動いたが、稍重発表になった安田記念は上滑りした午前中とは異なり、水分が適度に染み込んだ形の文字通りの稍重、ちょっとソフトな馬場状態。パワーの差が出るコンディションだったともいえる。

 また、5Rでキャメロンガールを大外に出して2着した安藤勝騎手、7Rでインぴったりを通った横山典騎手など、数多く芝のレースを乗っていた騎手ほど、メインレースのころには、結局はコースロスを避け、内をついたほうが正解の結論に達していたようだった。

 ローエングリン陣営は「競ってきたら共倒れ必至」というトーンで、他の逃げ=先行馬を中間から牽制していたが、横山典騎手はローエングリンで差して勝ったこともあり、最初から強引に行く気はなかったろう。

 人気のローエングリンの誤算は、昨年はレースの前後半が46.0-46.1秒の平均ペース型だったのに、今年は45.6-47.0秒。先行して抜け出して粘りたい同馬に予想以上に厳しい流れになったことだろう。逃げたメジロマイヤーは18着に沈んだ。

 ツルマルボーイは予想通りに下げたが、インぴったりを追走。4角でテレグノシスは思い切って外に出したが、同じ位置にいた安藤勝のツルマルボーイは外を回る気がまったくなかった。前の馬群がバラけるのを待ち、少し斜めに進路を通っただけで、外に出さなかった。1〜2着の差はコースどりによるところも大きいかもしれない。

 G1で2着が3回もあったツルマルボーイは、やっと念願のG1制覇だが、オーナーの鶴田氏は22年目にして初めて。生産の浜本牧場は、65年の歴史の中で初めてだという。多くのオーナーや、生産牧場にとってG1制覇の道は遠い。最近は著名なグループの馬がG1を勝つケースがことのほか多いが、こういう馬が勝つとなんとなくホッとする。人気のローエングリンも、あと5〜6回惜敗するときチャンスが出てくるかも知れない。同様にバランスオブゲームも・・・。

 テレグノシスはあと一歩だった。これは残念だが、こちらはG1馬らしい底力を示したのだから、まあ納得だろう。ブリンカーの利いたユートピアの二の足、粘り腰は光った。

 ファインモーションは、こういうローテーションを取らざるを得ないように、だんだん難しい馬になってしまった。あの折り合いの欠き方は、休み明けだから・・・ではないように思える。立て直しに期待したいが、すでに一時代を築いた5歳の牝馬。引退を決断する時期も近いかもしれない。

 アメリカの馬は、渋った芝では蹄鉄の関係もあり、滑ってレースにならない。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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