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名牝エリモピクシーを母に持つレッドアヴァンセ

  • 2015年10月14日(水) 12時00分
キャピタルシップ(牡 美浦・奥平雅士 父キンシャサノキセキ、母カラベルラティーナ)
 母カラベルラティーナは現役時代にダート短距離で3勝。叔母にヒカルアマランサス(10年京都牝馬S-GIII)、叔父にカレンミロティック(13年金鯱賞-GII)がいる。Deputy Ministerとフジキセキは相性がよく、この組み合わせからカネヒキリ(ダートG1を7勝)、ミラクルレジェンド(13年エンプレス杯-JpnII、10年クイーン賞-JpnIII、12年マリーンC-JpnIII)、デグラーティア(08年小倉2歳S-GIII)、サウンドトゥルー(15年日本テレビ盃-JpnII)、カラフルデイズ(11年関東オークス-JpnII)をはじめ多数の活躍馬が出ている。父キンシャサノキセキは現2歳世代がブレイク中。シュウジ(15年小倉2歳S-GIII)、サイモンゼーレ(15年小倉2歳S-GIII・2着)などの活躍で、現在JRA2歳種牡馬ランキングではダイワメジャー、ディープインパクトに次いで第3位につけている。仕上がりが早く、芝・ダートどちらでも堅実に走ってきそうだ。

タガノグラッツェ(牝 栗東・松田博資 父エンパイアメーカー、母タガノグラマラス)
 ファルコンS(GIII)を勝ったタガノグランパ(父キングカメハメハ)の半妹。母タガノグラマラスは現役時代に芝1500〜1800mで4勝を挙げた。父エンパイアメーカーはベルモントS(米G1・ダ12f)などG1を3勝した名馬で、種牡馬としても成功。12年の米サイアーランキングで2位となった(集計を北米のみに限定するとトップ)。日本ではもうひとつ成績が上がらず、逆にアメリカでは孫世代から米三冠馬American Pharoahが出現するなど勢いが衰えず、先日、5年ぶりにアメリカへ帰ることが発表された。本馬の配合構成は上々で、母がすでに繁殖牝馬として結果を出しているのもいい。芝中距離で楽しめそうだ。

テラノヴァ(牝 栗東・須貝尚介 父ヴィクトワールピサ、母エアトゥーレ)
 キャプテントゥーレ(父アグネスタキオン/08年皐月賞-GI)、アルティマトゥーレ(父フジキセキ/09年セントウルS-GII)、コンテッサトゥーレ(父ディープインパクト/15年桜花賞-GI・3着)、クランモンタナ(父ディープインパクト/14年新潟記念-GIII・2着)を兄姉に持つ良血馬。母エアトゥーレは阪神牝馬S(GII)を勝ち、フランス遠征ではモーリスドゲスト賞(仏G1)で2着と健闘した。2代母スキーパラダイスはムーランドロンシャン賞(仏G1)、京王杯SC(GII)の勝ち馬。日本を代表する名牝系のひとつといっていいだろう。父ヴィクトワールピサは新種牡馬。現役時代にドバイワールドC(首G1・AW2000m)、有馬記念(GI・芝2500m)、皐月賞(GI・芝2000m)などを制した名馬で、アサクサデンエン(05年安田記念-GI)、スウィフトカレント(06年小倉記念-GIII)を兄弟に持つ良血。現時点で5頭が勝ち上がっており、JRA新種牡馬ランキングでは第3位。まずまずの成績だろう。「ネオユニヴァース×トニービン」の組み合わせは、トーセンファントム、デスペラード、ネオヴァンドーム、アムールポエジーといった活躍馬が出ている。「ヴィクトワールピサ(ネオユニヴァースの息子)×トニービン」の本馬にも期待できそうだ。

マイネルアウトラン(牡 美浦・和田正道 父ステイゴールド、母コスモスカイライン)
 母コスモスカイラインは芝短距離で3勝を挙げ、1000万条件まで出世した。「ステイゴールド×グラスワンダー」の組み合わせはJRAで2頭出走し、いずれも未勝利に終わっているが、グラスワンダーに組成が近いパールバーリー(2代目にDanzigとSilver Hawkを持つ)はマイネルミラノ(準OP)の母となっている。また、グラスワンダーの母Amerifloraはデインヒルと同じ「Danzig×His Majesty」という組み合わせで、デインヒルといえばフェノーメノやナカヤマフェスタに含まれる血なので、ハマれば大物を出せる可能性がある。とくにナカヤマフェスタはStop the Music、Lyphard、Never Bendを併せ持っているので本馬とよく似ている。芝の中長距離を得意とする正統派のステイゴールド産駒だろう。

レッドアヴァンセ(牝 栗東・音無秀孝 父ディープインパクト、母エリモピクシー)
 サトノルパン(14年ファルコンS-GIII・2着)の全妹で、リディル(11年スワンS-GII、09年デイリー杯2歳S-GII)、クラレント(11年デイリー杯2歳S-GIIなど重賞6勝)、レッドアリオン(15年マイラーズC-GII、15年関屋記念-GIII)の4分の3妹。母エリモピクシーはエリモシック(97年エリザベス女王杯-GI)の全妹で、重賞で上位入線を繰り返した活躍馬だった。繁殖牝馬としては姉よりも優れた成績を挙げている。本馬はAlzao≒ダンシングブレーヴ3×2という大胆な配合で、父と相性のいいVaguely Nobleが入るのもセールスポイント。クロスが強いせいか全兄サトノルパンは気性的に難しいところがあったが、1200mに距離を短縮し、折り合いに気を遣わなくなったことで持ち味を発揮できるようになった。本馬もマイル以下が守備範囲だろう。全姉レッドベルダは馬体が小柄だったこともあり未勝利に終わったが、本馬はそれよりもひとまわり大きいのでおもしろい。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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