◆菊花賞はズバリ「血統」が役立つことも多いレース
結局、先週の秋華賞は「1400m連対実績馬」の1、2着。(3連系の)馬券は3着馬を拾わないといけないですし、その3着馬に1400実績がないので、なんとも微妙ですが…
秋華賞で「1400連対」のオプションが絞り込みに役立つのは、前回書いた理屈に加え、出走するほとんどの馬が中距離G1血統だから。そのうち秋華賞が10頭ぐらいディープ産駒になる時にも威力を発揮するでしょう。ディープ産駒はタッチングスピーチのように1400的な適性を要求されるレースを苦手とする馬も多いので、馬柱のオプションは絞り込みに有効なのです。
一方、菊花賞は、1400実績のような馬柱のオプションよりも、ズバリ「血統」が役立つことも多いレース。なぜなら、主流血統よりも反主流血統が走りやすく、馬券のポイントになる年も多いため。反主流コースが走りやすいレースは、そもそも馬柱の実績がない馬が走るので「血統」に委ねる割合も高くなります。
過去3年の菊花賞は
・種牡馬リーディング10位以下
・ダービー、皐月賞勝ち馬を出したことがない
通常ではネガティヴ要素となる2つの条件を満たした種牡馬の産駒が馬券になっています。
ちなみに、社台グループ出身のサンデー系種牡馬では、スペシャルウィーク、ダンスインザダークは菊花賞に相性の良い血統ですが、両種牡馬とも皐月賞、ダービー馬は出していません。スペシャルウィークはブエナビスタ、シーザリオを出しているので、そこまで強調もしたくないですが。菊花賞にめっぽう強く、セレクトセールでも販売価格で一時代を築いた(繁殖にも恵まれていた)ダンスインザダークも皐月賞、ダービーは勝っていないことは菊花賞の血統傾向を顕著に示しています。
こうした種牡馬が菊花賞向きという傾向から見ると、いかにもピッタリなのはハービンジャーです。というより、社台グループとしても、天皇賞春勝ち馬イングランディーレや菊花賞馬アサクサキングスを出した「社台の長距離要員」ホワイトマズルの後釜として取ってきたように思えてなりません。
またハービンジャー自身は4歳になって才能開花。キングジョージを11馬身ぶっちぎったのも4歳の時です。3歳秋に本格化する産駒が増える可能性もあります。
ハービンジャー産駒はスティーグリッツ、ベルーフ、マッサビエルがエントリー。スティーグリッツは内枠の方が合いそうですが、その理由は枠順が決まる週末にでも。
その他の種牡馬の産駒で、ちょっとおもしろいのがワンダーアツレッタ。母系に潜むミルジョージ、シプリアニは昭和の天皇賞血統。祖母も京都3000m勝ち馬。昨年の勝ち馬トーホウジャッカルは父スペシャルウィークが昭和の天皇賞種牡馬を母系に持ち、母父はアンブライドルド。ワンダーアツレッタは父がアンブライドルド系。ただ、父も母父もミスプロ系というのはさすがに…
そういえば、神戸新聞杯のレース前には「リアファルは距離が延びるほど強い馬。菊花賞向きなのでここでも3着にはなりそうだから本命」としたのですが、まさかの圧勝。
スタミナ豊富な牝系の解説や、ステイヤー血統はダートを走る馬も多いことについて書くつもりでしたが(神戸新聞杯のレース前にもダート馬と錯覚している風潮に違うと指摘したんですが)その気も失せました。そういえば、ゼンノロブロイ産駒も皐月賞、ダービーを勝っていませんね。
リアファルは長距離歓迎。現実的な血統情勢から見ればハービンジャー軍団。ちょっとした昭和ロマンを追うならワンダーアツレッタだけどミスプロが強すぎるのでは? というのが、頂点の競馬ロマン派(詳しくは新刊で)を自認する者の見解です。