刈り揃えられた芝で、かなり硬い印象も与える開幕週の福島は高速レース。昨15年、ティエッチグレースが1分07秒4(32.4-35.0秒)で逃げ切った際よりさらに速いラップが刻まれた。10秒台のラップを2回含んで、前半から32.1-43.2-54.8秒…。
距離1200mの記録とすると、前半3F32.1秒は、史上最速のダッシュ記録になる。
カルストンライトオは、直線1000mの新潟で53秒7の日本レコードを持つ馬。からんできたモルフェデスペクタを競りつぶし、寸前まで粘ったから立派だ。その53秒7のレコードを樹立した14年、6月の福島のカルストンライトオは、1分08秒4でかろうじて逃げ切ったあとしばらくたって、新潟1000mに出走している。もちろん馬場差は大きいが、ひところのスランプは脱しているだけに、今季のカルストンライトオの新潟サマーダッシュは注目を集めそうだ。
勝ったワンダーシアトルは、今年になって1000万、1600万を突破しOPに上がってきたばかりの上がり馬。うまくインにもぐり込み、前半ムリしなかったこと、最後の1Fが12.5秒に落ち込んだこともあるが、追って一気に抜け出した。父のシアトルダンサーII(父ニジンスキー)は不振ですでに逆輸出された種牡馬。総じてダート巧者を多く送り、あまりスピード型を送らなかったが、NHKマイルCのタイキフォーチュン、関屋記念2勝のエイシンガイモンなど、中に高速レース向きの馬を少しだけ残した不思議な種牡馬だった。
人気のカフェボストニアンは抜け出しかかってあと一歩足りず1分07秒5。力は出し切っているだろう。平坦の短距離戦でこそのタイプだが、これまでの成績通りG2〜G1級が相手だとちょっと足りなくなる。カフェボストニアンに先着したグループはしたがって、このあとの重賞で少し強気になれる。