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昨年2着馬に「最大級」評価!? マイルCS追い切りチェック

  • 2015年11月18日(水) 18時00分


アルビアーノの栗東滞在はプラスに作用

 今週末は3日間開催ですが、G1のマイルCSは22日。よって、最終追い切りは18日に集中し、加えて、ジャパンカップの1週前追い切りも行われたということで、かなりの報道陣が詰めかけていました。前夜の大雨が上がって、ほっとしていたら、7時30分すぎでしょうか、濃霧で調教馬場が全く見えなくなってしまいました。

濃霧

濃霧で全く見えなくなった調教馬場



 このままだと8時すぎのハロー明けの追い切り集中時間帯に影響が…。と思っていたら、やっぱりその頃はまだ霧が晴れず、何頭もの追い切りを見ることができませんでした。なんとか、直線だけ撮影できたのが、下記にも取り上げたアルビアーノ。ただ、マイルCS組やJC組の追い切りには大きな影響がなかっただけに、ほっとひと安心という感じでもありました。

【マイルCS/サトノアラジン】

 1週前追い切りはCWで6Fから時計を出して、併せたトーセンレーヴに少し見劣るような動き。ただ、これは行きたいところを我慢させる意図的なものだったというのが、個人的な見解。やればいくらでも動くタイプですから、見た目の印象よりも、実際にどのくらいの調教量を消化しているか、これが重要だと思います。

 そういった意味では、中間に坂路の追い切り本数をきっちりこなしているのは評価できます。最終追い切りはCW4Fの追い切りで、併せたロードガルーダとほぼ同入。4F54.8秒は遅くても、1F11.6秒は抜群の伸び。この状態をキープして、あとはレースで弾けるといったイメージなのでしょう。

サトノアラジン(11月18日撮影)

ラスト1Fは抜群の伸びをみせたサトノアラジン(11月18日撮影)



【マイルCS/クラリティスカイ】

 もともと休み明けが得意なタイプだとは思いませんが、前走着順は15着。確かに早い時期から追い切りを開始していたにしては、動きが物足りなかったですし、調教では補うことができない何かが足りなかったのかも知れません。そういった意味では、ひと叩きしたことで、状態に関してはかなり上向いている印象。

 特に18日の最終追い切り。CWでファルスターを追走しましたが、最後の直線は内から追い抜こうとしたので、少しもたつくと想定しましたが、ラスト1F標識手前で瞬時に反応、あっさりと相手を追い抜きました。全体時計がかなり遅く、6F85.2〜5F69.6〜4F54.6〜3F39.8〜1F11.7秒で、ラストの反応を評価してよいのか微妙ですが、とにかく反応が素晴らしくなったのは確かです。

クラリティスカイ(11月18日撮影)

反応が素晴らしくなったクラリティスカイ(11月18日撮影)



【マイルCS/ダノンシャーク】

 昨年の覇者。今年は毎日王冠からのローテーションですから、中間の追い切りパターンも若干変化しました。これは当然のことだと思いますが、1週前追い切りの内容は昨年の方がマイルCSに適した調教だっただけに、そういった意味では連覇の可能性は低いと考えています。

 ただ、最終追い切りの動きは文句なし。右ラチ沿いを走っていましたが、前を行くダノンブライトを視界に入れつつ、最後はしっかりと追い抜く形。追われてからの反応も素晴らしく、さすがはG1ホースという走り。先週は踏むことができなかった、ラスト1F最速のラップも踏めましたし、状態に関してはケチをつけるところがありません。

ダノンシャーク(11月17日撮影)

状態に関してはケチをつけるところがないダノンシャーク(11月17日撮影)



【マイルCS/アルビアーノ】

 スワンS後に栗東に滞在。1頭にもかかわらず、平然とした様子で坂路の逍遥馬道を歩く姿はとても3歳牝馬と思えません。それでも環境に慣れるまでは少し時間を要したとのこと。それで現状の馬体を維持しているのだから、馬もよほどスタッフのことを信頼しているのでしょう。

 栗東では坂路で2本追い切っていますが、特に15日の動きが抜群。最終追い切りはCWだったので、マイルCSに対する調教適性という意味では高い評価ができませんが、その動き自体は機敏でした。追い切り本数を考えても、今回の滞在は確実にプラスに作用しそうですから、馬個体の調教内容を評価しないといけないでしょう。

アルビアーノ(11月18日撮影)

今回の滞在は確実にプラスに作用しそうなアルビアーノ(11月18日撮影)



【マイルCS/フィエロ】

 スワンSからマイルCSは昨年と同じローテーション。昨年2着とはいえ、ほぼ勝ちに等しい内容だけに、当時と同じ調教内容が好走調教だと判断しています。そういった意味で、全体時計は速いけど、ラスト1Fの伸びが物足りないと感じた、13日の1週前追い切りをどのように判断するか。これは最終追い切りを待ってみるべきだろうと思っていました。

 その最終追い切り。坂路で併せ馬を行いましたが、相手には大きく先着。時計は4F52.2秒、1F12.2秒。ラスト1Fが最速になるラップを踏んでいる上、全体が速くなっているのは昨年の最終追い切りより中身の濃い内容。前走の追い切り内容が少し軽く感じていたので、この流れを見ると、なるほど、と思ってしまいます。つまり最大級の評価をしなければいけないということです。

フィエロ(11月17日撮影)

昨年の最終追い切りより中身の濃い内容だったフィエロ(11月17日撮影)



◆次走要注意

・11/14 京都 デイリー杯2歳S【エイシンギガント】(13人/7着)

 ブービー人気でしたが、レース内容は決して悪くありません。もちろん勝ち負けできるレベルでなかったことは間違いありませんが、先行するセンスは見せてくれました。
 最終追い切りの内容が良かったように、きっかけひとつで好走しても不思議ないタイプ。ぜひ覚えておいてほしい馬です。

[メモ登録用コメント] [芝]調教タイプが標準併用系統なら勝ち負け

・11/15 京都 ドンカスターC【ブラックムーン】(1人/1着)

 鞍上の人気もあったと思いますが、昇級初戦にもかかわらずの1番人気。それにきっちり応えるあたりが能力の高さだと思いますが、最後はしっかりと前を捕まえるところが魅力。
 坂路での追い切りの動きはラスト1Fがしっかりしており、これから先もマイル路線なら結果を残していくことができそうです。

[メモ登録用コメント] [芝マイル]標準多め坂路なら勝ち負け

◆今週の追い切り特報

・東京スポーツ杯2歳S【キラージョー】
 中1週の再東上。DPとはいえ、ティアーモに後ろから迫られて、影も踏ませなかった動きは抜群。時計的にはティアーモで十分動いているわけですから、いかにキラージョーの動きが素晴らしかったかということ。新馬戦同様、ハナを切るレースでよいと思います。

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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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