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きさらぎ賞勝者が西の大将格になる? 答えは「ノー」/吉田竜作マル秘週報

  • 2016年02月03日(水) 18時00分


友道調教師は「今まで預かったなかにはいなかったタイプ。能力が違うというか、絶対値が違う」

 “クラシックの登竜門”とされるGIIIきさらぎ賞(7日=京都芝外1800メートル)だが、2003年の牡馬クラシック2冠に輝いたネオユニヴァースを最後に04年以降の勝ち馬は、春のクラシックシーズンでは微妙に運に見放される。マイルにもクラシックディスタンスにも移行しやすい距離が“どっちつかず感”を植えつけてしまうのかも…。

 しかし、今年に限っては心配無用。「サトノダイヤモンドVSロイカバード」。東京スポーツ最終面でも特集されている高額落札馬対決が再び実現するからだ。特に前者サトノダイヤモンドは前走の阪神500万下の勝ちっぷりが圧巻。観戦に来ていた里見治オーナーが「勝たなければ意味がない一戦だった」と豪語したのも納得の走りだった。

 新馬戦でこのサトノダイヤモンドに敗れた後、未勝利戦→福寿草特別連勝で盛り返したロイカバードを返り討ちにするのか、それとも…。牡馬クラシック戦線を占う意味でも重要な一戦になるのは間違いない。

 しかし、きさらぎ賞の勝者がそのまま関西牡馬の大将格になるかといえば、答えはノー。2歳王者リオンディーズはもちろん、先にオープンを勝ち上がったマカヒキを打ち破るのも、難易度の高いミッションと言えるだろう。

「今まで預かったなかにはいなかったタイプ。やっぱり切れ味がディープだよね。能力が違うというか、絶対値が違う」とは管理する友道調教師。アドマイヤジュピタ、ヴィルシーナなどでGIを制した名トレーナーに、「(今までの管理馬では)経験がない」と言わしめる瞬発力を秘めているのがこのディープインパクト産駒なのだ。

 改めて新馬勝ちから3か月ぶりの一戦となった若駒S(京都芝内2000メートル)を振り返ろう。1000メートル通過63秒4の超スローの流れを後方から追走。舞台が直線の短い内回りコースとなると、並の馬なら“万事休す”なのだが、そんな不安すら感じさせないのが、マカヒキのスケールの大きさなのかもしれない。圧倒的人気に上がり3ハロン32秒6の切れ味で応え、堂々と皐月賞出走はほぼ当確と言える賞金を手に入れた。

「4コーナーで外に出した時点で“もう届くな”と思った。パドックで少しうるさいところを見せていたが、2周くらいしたところで落ち着いたし、返し馬でもムキにならなかった。オンとオフの切り替えがしっかりできるし、学習能力がとにかく高い。この馬はノーザンファームしがらき(滋賀県)ではなく、天栄(福島県)に放牧に出すので、長距離輸送自体に問題がないこともわかっている。今のところ何の心配もない」(友道師)

 調教師になる前から何度となく取材を重ねているが、本来は慎重な言い回しが多い人。これだけスラスラとセールスポイントが出てくる馬は過去に記憶がない。それほどまでに“安心感”を与えてくれる馬なのだろう。

 気になる次走は王道のGII弥生賞(3月6日=中山芝内2000メートル)に落ち着いた。皐月賞と同じ舞台だけあって例年、最もハイレベルになるトライアルだ。金子真人オーナーには他にも何頭かクラシック候補がいるなか、マカヒキを王道に投入するのは、名オーナーの中でも揺るぎない評価を得ている証しだろう。

「5億円対決」の行方と、まだ手合わせしていないハイレベルな東西の実力馬たち…。いよいよ牡馬クラシック戦線がヒートアップしてきた。

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