思い出されるコーリンベリー小野師のアツい話/トレセン発秘話
◆道中リズム良く運べれば一撃はある
水曜の当欄で「地方交流GI、ドバイ国際競走というレースの狭間にあるフェブラリーSは、意外にここをメイチの目標にする馬は少ない」という松田国調教師の証言を紹介した。もちろん早くから、このレースを視野に入れて調整してきた馬も多くいるわけで…。坂路野郎は、昨年のチャンピオンズCに出走する前から「目標はあくまでフェブラリーS」と公言していた調教師を知っている。
地元のオールウェザーで無敵を誇った香港馬ガンピットの前日調教を取材する目的で早めに現地入りした昨年のチャンピオンズC。
当時の取材で記憶に残ったのはガンピットの動きでも、管理するファウンズ調教師の話でもなく、同じく早めに中京に入って現地で調整していたコーリンベリーの小野調教師の話だった。
レース前日の早朝、自らまたがって直前調整を終えたトレーナーは、GIを前にして「ここに使ったのは来年のフェブラリーに向けてという意味合いもあるから」と明かし、「目標であるフェブラリーに、いい形でつなげたい。そのために控える競馬も考えている」と、あくまで真のターゲットはフェブラリーSであることを隠そうとしなかった。
実際のレースは控えて力み、13着にごう沈…。あの試みが今回につながるレースだったかどうかは分からない。しかし、この馬がかなり早い段階からフェブラリーSを目標にしてきたということは間違いない。出遅れて直線窮屈になり、全く力を発揮できなかった昨年のこのレースが、勝ち馬コパノリッキーから0秒5差。道中リズム良く運べれば、一撃はあるのではないか。
あの時の小野調教師のアツい話を思い出しながら淡い期待を持って、とりあえず印は入れるつもりである。(栗東の坂路野郎・高岡功)