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有馬自重は正解!? リアルスティールの追い切りチェック!

  • 2016年02月24日(水) 18時00分


本当に僕は幸せ者

 先々週、先週と当コラムの冒頭で記した「提言」について、ある厩務員さんから「ええこと書いてくれた」とお褒めの言葉をいただきました。単純に現場にある制度の不満を記しただけで、これが改善されるかどうか分からないのですが、これからもトレセンで感じたことはどんどんとメディアを通じて、発信していけるように頑張ります。

 今週は22日に公開されている「橋口弘次郎調教師へ感謝の手紙」について、少し補足させてください。原稿依頼としては、私が手書きで先生に手紙を渡して、それを読んでもらった感想を一言いただく、というものでした。

 先生が調教師としてメディアに登場するのも今週で最後になるわけですから、ファンの方に先生の直筆を見てほしいと思って、先生に「返事を一行二行でいいから書いてもらえませんか」と無理にお願いしました。そうすると「適当に書いておいてよ」と先生らしい返事でしたが、なんとか書いていただけることに。

 書き出すと「まだ書いてくれるんですか?」とこっちが驚くくらいに、びっしりと書いてくれるんですよね。そして「これでいいかね」と言って、その手紙を奥様が私に向かって読み上げてくれました。

 それを聞いていると、涙が出そうになったり、笑ってしまったり。先生とこんなお付き合いをさせていただけて、本当に僕は幸せ者です。

 このような時間をつくることができたのは、netkeiba.com様から原稿依頼を頂くことができたからであって、今回の依頼には本当に感謝しています。ありがとうございました。

【中山記念/リアルスティール】

 菊花賞の後は有馬記念を使うという予定もありましたが、状態を考慮して自重。結果的にはここまで待機した形となりますが、2月に入ってから開始している追い切りの状態を見ていると、結果的に正解だったような気がします。

 もともと追い切りでの動きが目立つタイプの馬ではありますが、帰厩してまもない時期にCWで速い時計を出せています。これはノーザンファームしがらきでの状態が良かったからこそ出せる数字だと考えられます。その後も追い切りを順調にこなしており、徐々に終い重点の動きに変化。24日の坂路でも、その内容で4F54.1秒の1F11.9秒でした。併せ馬ではきっちり先着しており、競馬では確実に上位争いしていると思います。

リアルスティール(2月23日撮影)

確実に上位争いできる仕上がりのリアルスティール(2月23日撮影)



【中山記念/アンビシャス】

 音無秀孝調教師が「(中山記念は)強いメンバーになるでしょ。だから、ほぼパーフェクトに仕上げておいて、状態面では不安のない状態でどのくらいやれるか見てみたい」と帰厩当初から話していました。それが調教欄にも表れる形となり、坂路での追い切り本数が最終を含めて9本。時計の内容も文句ありません。

 最終追い切りはクランモンタナを追走。きっちり先着して、4F52.2秒ですが、時計自体は先週の方が速いというのが数字上の評価になります。ただし、動き自体は余力がありましたし、本数を積み重ねたことがこの動きの根底にあると思います。少し折り合い面に難しさがある馬だけに、休み明けの方がレースの結果は出やすいような気はします。

アンビシャス(2月23日撮影)

休み明けの方がレースの結果は出やすい気がするアンビシャス(2月23日撮影)



【阪急杯/レッツゴードンキ】

 桜花賞の後は、3歳牝馬クラシックとして王道の路線を歩みましたが、結果が出なかったこともあり、マイルCSに出走。逃げて6着という結果でしたが、2着フィエロとは0.3秒差。勝ったモーリスがその後に香港マイルも制して、昨年の年度代表馬ですから、十分に力を見せることができたといってよいでしょう。

 この中間はできるかぎり岩田康誠騎手が跨っての調整。24日はEコースでキャンターを乗った後、2回目のハローがあけた坂路馬場での単走追い切り。踏み荒らされていないウッドチップということもあって、その走りは気分良さそうに駆け上がっているように見えて、時計は4F51.2秒。動く馬ですから、この数字を過大評価するつもりはありません。楽にこの時計を出すことができたことを評価したいので、レースでも自分のペースで先行もしくはハナを切ることができるようなら、十分に結果が期待できる状態ではないでしょうか。

レッツゴードンキ(2月9日撮影)

楽にこの時計を出すことができたことを評価したいレッツゴードンキ(2月9日撮影)



【阪急杯/ミッキーアイル】

 昨年は阪神カップからのローテーションだったのに対して、今年は香港スプリントからのローテーション。ただ、レース間隔自体はほぼ同じなので、海外遠征の疲れがあるかないかといったところだけ。このあたりに関して、音無秀孝調教師は「香港の時よりもいい」と話すくらいですから、状態に関しては問題なさそう。

 調教内容としては、折り合って走らせたいと考えていた昨年はこの期間にCWでの追い切りを挟んでいました。しかし、今年はそういったことをせず、坂路オンリーでの追い切り。よって、中間はバンバン飛ばす追い切りを行っており、1週前の段階で坂路4F50.9秒をマークしているにも関わらず、最終追い切りでも坂路4F50.3秒。これは自己ベストを更新する数字です。だからといって、ラスト1Fが大幅に失速しているわけではなく、1F12.5秒にとどまるあたりは、いいスピード調教ができたと理解したいところ。今年の方が昨年よりも高いパフォーマンスができそうな気がします。

ミッキーアイル(2月23日撮影)

今年の方が昨年よりも高いパフォーマンスができそうなミッキーアイル(2月23日撮影)



【阪急杯/オメガヴェンデッタ】

 前走京都金杯は最終追い切り場所がCW。今年の安田隆行厩舎はCWからの4F追い切りを積極的に行っており、それがこの馬にも適すると考えていましたが、12着というレース結果を考えると、最終追い切り、使った距離ともに適当ではなかったと考えるべきでしょう。今回は距離が短縮するということもあってか、最終追い切り場所は坂路でした。

 坂路が閉場になる直前に1本目をキャンターで駆け上がって、2回目のハローがあけた時間帯での追い切り。時計は4F51.1〜3F37.3〜2F24.2〜1F11.7秒という数字。この動きを見た時に「やっぱりスプリンターか」と思った気持ちは嘘ではありません。スピードを前面に出していく調教をしているわけですから、1400mの距離は大歓迎。ここで結果が出して、高松宮記念に出走してほしいというのが、個人的な思いです。

オメガヴェンデッタ(2月23日撮影)

ここで結果が出して、高松宮記念に出走してほしいオメガヴェンデッタ(2月23日撮影)



◆次走要注意

・2/21 3歳未勝利【ヤマニンスワンキー】(8人/9着)

 新馬戦で競走中止して、その2戦目でしたが、馬体のつくりは十分に未勝利を脱出できるレベル。ただ、少しトモの甘さを感じるパドックでした。
 それでもレースでは先行しているので、もっと後ろからの推進力が出てくれば、先行して押し切ることができるでしょう。今後、順調に使うことができれば。

[メモ登録用コメント] [ダート]追い切り本数標準以上なら勝ち負け

・2/21 小倉大賞典【ケイティープライド】(14人/4着)

 スタートから実にスムーズで、4コーナーは最内に進路をとって、最高の形でレースすることができました。やはりローカル場で小回りなら、こういった器用さを活かせるといったところでしょう。
 今回はハンデにも恵まれていますが、この感じだとそのうちチャンスが巡ってくるでしょう。

[メモ登録用コメント] [ローカル芝中距離]最終追い切り坂路でラスト1F最速ラップなら勝ち負け

◆今週の追い切り特報

・【セカンドテーブル】
 来週のオーシャンSを予定していますが、とにかく24日のCWでの動きが抜群。2回目のハローがあけた時間帯で単走でしたが、4F50.2秒を余力十分にマーク。前走シルクロードSよりも更に状態が上がっている印象すら受けます。

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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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