マカヒキ最終追い“やや本気”どう出る/トレセン発秘話
◆今回はさらなる豪脚を
レース当週の追い切りは非常に重要だ。本番直前に状態を引き上げるための最終トレーニングであり、仕上がり具合を確認する最終工程でもある。その動きの良しあしは実戦に直結しやすい。
2012年の天皇賞・春。14番人気で臨んだ管理馬ビートブラックに、当初は「大した期待を持っていなかった」と振り返った中村調教師が、がぜんやる気になったキッカケがレース当週に行われた最終追い切りだった。
「時計とかラップじゃない。坂路を駆け上がってくる勢いに、いつもと違う迫力があったんだよね。追い切りが始まる前はイスの背もたれに寄りかかって見ていたんだけど、思わず起き上がって“オッ”て声が出てしまったよ」
結果は早め先頭から4馬身差で押し切ってしまう豪快V。まさに最終追い切りの動きがポイントになった一例だろう。
本題は弥生賞に出走するマカヒキだ。この馬、過去2走とも最終追い切りは軽い時計しか出していない。新馬戦時はウッドで15-15に毛が生えたような内容、2戦目の若駒Sにしても坂路で15-15から少し速くなった程度(4ハロン58.8-13.6秒)だった。これにはちゃんとしたワケがあって「初戦は追い切りに乗った(ミルコ)デムーロが“これでいい”と判断して軽くなったもの。2走目は雪の影響でそこまでやれなかった」(友道調教師)。
ビートブラックのような思わず起き上がってしまう、目の覚めるような追い切りとは正反対の内容だったわけだが、そんな調教で2走とも圧倒的な脚力を見せているのだから、ポテンシャルの高さが分かるというもの。
先週しっかりやっており、長距離輸送もあるため、今週(2日)の追い切りもあくまでソフトタッチ(坂路4ハロン53.3-12.3秒)だったが、それでもここ2走に比べれば時計の出し方は“やや本気”。今回はさらなる豪脚を見せてくれそうな気がする。(栗東の坂路野郎・高岡功)