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OBSマーチセール進行中(須田鷹雄)

  • 2016年03月15日(火) 18時00分


◆相変わらず「プレビューインフレ」が続いているOBS

 アメリカでは2歳トレーニングセールが始まっており、ファシグティプトン・フロリダセールでは日本人と見られる購買が4頭あった。

 続いてOBSマーチセールが現在進行中。あいにくセール自体は3月15〜16日なのでこの原稿を書いている直後なのだが、調教供覧は3月9〜11日に終了している。プレビューからセリまで中5日前後あるというのは、「時計だけ出して、後のことは知らん」という馬に騙されないためにはプラスでもあるのだが、いわゆる「下で買ってしまう」ということが増える面もある(既にそれっぽい欠場も出ている)。正直バイヤーによってはよしあしの面があるだろう。

 さて、プレビューを見て感じるのは、ガルフストリームに移ってから時計が落ち着いたファシグに比べ、OBSは相変わらず「プレビューインフレ」が続いていること(数字が小さくなるのだから、デフレか!?)。現状欠場していない馬について最高タイムを記すと、

3/9 1F9秒4/5(14頭) 2F20秒3/5(1頭)
3/10 1F9秒3/5(1頭) 2F20秒2/5(1頭)
3/11 1F9秒3/5(2頭) 2F20秒2/5(2頭)

 と、まさにイジョーな世界。2日目3日目には9秒4/5がそれぞれ10頭以上出ている。

 誰でも出せる9秒台、という世界になっているが、目についたのはInto Mischiefの産駒。9秒4/5が5頭に10秒フラットが6頭。欠場馬1頭を除く18頭の上場馬のうち11頭がそれだけ速いのだから、売り手にとっては良い種牡馬だ。

 Bodemeister、Hansen、Lookin At Lucky、Wildcat Heirあたりも今回産駒が時計を出しているが、Into Mischiefは一段上。もともとそれほどOBSマーチには上場馬がいなかったし、「時計の出るタイプ」というイメージでもなかったのだが、今年はがらっと趣を変えてきた。

 Into Mischiefは今年の種付料が4万5000ドル。日本ではアジアンテーストしか産駒が走っていないがそれが3勝だから、プロフィールとして悪くはない。ただ、「売り手にとって良いことは、買い手にとって悪いこと(逆もまた然り)」というのがセリの基本。今年の同種牡馬産駒については、疑う発想も持って評価してみたい。反対に、「時計は出ていないが既に日本で実績のある種牡馬」は狙い目になる。

須田鷹雄+取材班が赤本紹介馬の近況や有力馬の最新情報、取材こぼれ話などを披露します!

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