鮮やかな逃げ切りで53秒9。再び新潟1000mを独走したカルストンライトオ。一方、札幌記念のファインモーションは、最後方からの直線一気で2分00秒4(上がり34秒9)。今週の重賞2つは、ともに人気の主役が全能力をフルに爆発させた。
秋のビッグレースに向けて、という観点ではもちろんファインモーション。折り合いに難しい面がある馬のこと、これが伏兵人気の馬ならあえて最後方からの「届かない危険も大きく、負けたら批判される乗り方」も不思議ではないが、ファインモーションでこういう勝負手を使い、実際に差し切ったのだから、武豊騎手ならではなのだろう。復活というより、また一回りスケールアップした。
秋の路線はマイルCS、エリザベス女王杯が中心になると思われるが、札幌記念をステップにすると、ローテーションは極めて楽。秋のG1の大きな核ができた。
カルストンライトオは、53秒7の日本レコードを記録した当時の状態に戻っていたのだから、こちらは勝って当然だったが、なだめて進んで前半22秒0。後半はレコード勝ちの一昨年と表面上は同じ31秒9だったが、加速のついた最後の1ハロンは11秒2で馬なりだった。一昨年は12秒1。同じ53秒台でも今年のほうが中身は濃いところがある。
一時ほど一本調子の面はなくなっているだけに、これなら坂のあるコースでの1200mのスプリンターズSでも通用するだろう。
戻って札幌記念。2着のバランスオブゲームは負けたとはいえ、ローエングリンをかわして、十中八九勝つ形を作ったのだから負けたのは仕方がない。478キロの馬体重は、ひと回りたくましくなっていた。
ローエングリンは体調一歩。まだスランプを脱していないというより、成長が止まってしまったようだ。どこが目標という展望が見えなくなっている。