◆前走と変わらず、いい雰囲気
「道中、厳しいペースで流れて、力がある馬しか上位に来られないレースになりましたね」とは先週の皐月賞にナムラシングン(7着)を出走させた高野調教師。例年なら向正面に入ってから12秒台のラップが3ハロンほど続くのだが、今年は向かい風の中、息を入れられる十分なラップ区間がなかったのだから非常にタイトな流れだった。
勝ったディーマジェスティが8番人気だったため、波乱のイメージもあろうが、実は順番こそ入れ替わったものの、1〜9番人気が上位9着までを占めた形。“真の能力を測れたレース”と言えるのではないか。スローペース全盛の中、こういう競馬はなかなかスリリング。道中の(手綱の)引っ張り合いから、直線だけの競馬になるよりは見ていて面白みがある。
レースが流れるといえば、土曜(23日)のGIII福島牝馬S(芝1800メートル)。過去10年で前半3ハロンが後半3ハロンより遅かったのは3回だけ。時には33秒台で流れることもあるのだから、前半から目の離せないレースになる。おまけに今年は先行馬が多く、ローカル重賞ならではの激しいレースとなりそうだ。
坂路野郎が狙うのはフレイムコード。その前走(中山牝馬S9着)はスタートで出遅れ、向正面で一気にマクる強引な競馬になりながらも、直線半ばまでは粘走。まともに好位から運べていれば勝ち負けしていたレースだった。「前走と変わらず、いい雰囲気。ゲートを決めて、行く馬を見る形で競馬ができれば」と木埜山キュウ務員。
5勝もしている割に、過去34戦で1番人気になったことが一度もない“甘く見られる馬”の典型だが、ハイペースを追走して重賞初Vを決めるようなら、改めてこの馬の力を示すことになる。(栗東の坂路野郎・高岡功)