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距離が延びるごとに良さ/プリンシパルS

  • 2016年05月06日(金) 18時00分


直線の長い東京コース向き

「皐月賞」の直前は、人気順に、サトノダイヤモンド、リオンディーズ、マカヒキの3頭が単勝オッズ「270円、280円、370円」の圧倒的な人気を集め、4番人気以下は単勝1600円以上だった。この「3強」、崩れたわけではなく、皐月賞は順に「3,5,2」着だった。

 だが、レースレコードの1分57秒9で完勝したディーマジェスティが割って入ったのは間違いない。フルゲートが18頭になった1990年以降、決して有利でもない最外18番枠で勝ったのは、91年トウカイテイオーと、97年サニーブライアンの2頭だけ。両馬は日本ダービーも勝っている。

 馬番18番の皐月賞成績は、東京だった2011年を別に【2-2-2-18】であり、2着だった93年ビワハヤヒデは、ダービーも2着。04年の2着馬コスモバルクこそ日本ダービー8着だが、98年の3着馬スペシャルウィークはダービー1着。2014年の3着馬ウインフルブルームはダービーを取り消しなので、皐月賞を「18番枠で3着以内に好走した馬」は、日本ダービー【3-1-0-1】。素晴らしい成績である。

 ディーマジェスティが加わり、やや古い形容だが「四天王」となったダービー路線に、青葉賞のヴァンキッシュランは、04年ハイアーゲームの2分24秒1のレースレコードに0秒1差の「2分24秒2」だった。2着馬レッドエルディストの2分24秒4も、青葉賞史上4位に相当する快時計である。ハイアーゲームはダービーレコード(当時)のキングカメハメハの3着。2分24秒3で勝った10年のペルーサは、日本ダービー6着。

 ヴァンキッシュランも、レッドエルディストも(走りすぎの反動がなければ)、ふつうは、02年シンボリクリスエスや、03年ゼンノロブロイ(レッドエルディストの父)と同じようにダービーの有力候補である。

 プリンシパルS(創設1996年)をステップに、日本ダービーで好走したのは1996年のダンスインザダーク「1着→2着」だけ。青葉賞と同じで本番の勝ち馬はいないが、「まだ、いない」という記録を信じすぎると、フサイチコンコルド(3戦目で日本ダービー制覇)のときと同じで、むなしいダービーになる。いつか「プリンシパルS・青葉賞→日本ダービー優勝馬」は出現するのである。

 2連勝の上がり馬ゼーヴィント(父ディープインパクト)に注目したい。上がり33秒台の切れを持つ、というタイプではないが、使われるごとに、距離が延びるごとに良さが出てきた。バテることなくジワジワ渋く伸びる印象があり、勝負強い。おそらく直線の長い東京コース向きだろう。

 母はブライアンズタイム産駒。祖母シーヴィーナスは、ナリタブライアン(父ブライアンズタイム)や、ファレノプシス(父ブライアンズタイム)といとこの間柄であり、ゼーヴィントはキズナとも牝系が同じだから、血統構成図は似ている。ディープインパクトや、ブライアンズタイムの血を引く馬は、この時期に急速に成長する。だから、クラシック血統なのである。そこまでの馬とは思えないが、一段と動き良化の今回、どこまで変わってくるかに注目である。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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